社会保険料軽減目的の個人事業主の雇用について
当方は1人で株式会社を営んでおります(株主兼代表者)。
この度、個人事業主の知人A氏から、国民年金保険料を軽減するため、当社に低賃金で雇用してほしいとの相談を受けました。
雇用した場合は、社保に加入したうえで、月10万円ほどの給料とし、実際にその分仕事をしてもらう予定です。
知人A氏は被雇用後も個人事業主として事業を継続し、事業収入は毎年700万円ほどとなる見込みです。
このようにすれば、知人A氏が負担する社会保険料は軽減されるかと思いますが、税務上(もしくは社会保険上?)、問題はございますでしょうか。
税理士の回答
長谷川文男
現行の制度による限り、税務上及び社会保険の制度上、問題はありません。
なお、社会保険に加入する場合、週30時間の労働時間が必要ですから、ご留意ください。
また、賃金額は22日計算とすると
最低賃金額×22×8=ですから
最低賃金を1,100円と仮定すると
1,100×22×6=145,200円の給料
が必要です
いわゆる106万円基準(従業員51人以上)なら
1,100×22×4=96,800ですみます。
※ この手法、国民年金の軽減を目的とする人は少なく、多くは国民健康保険が高いので行う人が大半です。
30時間(106万基準なら20時間)以上と拘束されるため、個人事業主にとって時間の負担が大きいです。もし、業種別の国民健康保険組合があれば、そちらに加入するのも一法です。
最低賃金は県により異なります。
ご相談のケースでは、社会保険上・税務上ともに注意が必要です。まず社会保険面では、形式的に雇用契約を結んでも、実態として指揮命令関係が希薄であれば「被用者」とは認められません。A氏が独自に事業を行い、収入の主たる部分が個人事業から生じている場合、社保加入自体が不正とみなされるおそれがあります。また、保険料軽減を目的とした雇用契約は、虚偽届出として会社側にも罰則が及ぶ可能性があります。税務上も、給与支給が実質的な外注費であれば損金算入が否認されるリスクがあります。形式より実態が重視される点にご留意ください。
本投稿は、2025年11月12日 03時53分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。






