新規事業を始める場合の法人・個人事業主の選択について
現在WEBサービス事業を法人にて行っております。現在3期目です。
この度新しく飲食事業を始めるのですが、消費税対策のために、社長の個人事業で始めたいと考えております。個人事業主であれば、前々年度の課税売上高が1000万円を超えなければ、2年間消費税が免除されます。また法人成りして一定の要件を満たせば、さらに2年間消費税が免除されます。合計4年消費税が免除されるので、ぜひ個人事業として始めたいのですが、ここで質問がございます。
・物件は取得済みですが、法人名義で借りているオフィスを飲食店に業態転換いたします。
物件の毎月の賃料を法人が支払い続けた場合、税務署から個人事業と見なされなくなるのでしょうか。賃貸借契約を法人から個人に変えると連帯保証人の変更など色々面倒なので、できることならばこのまま法人で家賃を支払い続けたいと考えております。
・内装工事費やレシピ開発、人材採用費などの初期投資はすべて法人で行った後、営業初日から個人事業主で開業した場合、こちらも税務署から個人事業と見なされなくなるのでしょうか。資金の関係から、費用がかかる初期投資だけ法人が行い、営業を開始したら個人事業でやりたいと考えております。
以上、何卒よろしくお願い致します。
税理士の回答
手短にご回答します。
1点目ですが、代表者の個人事業で使用する店舗の賃料を、別の事業を行っている会社が負担してしまったとすれば、代表者の負担すべき家賃を、会社が負担していることになり、代表者に対する給与等として、所得税を課税しなければならないことになります。支出の仕方によっては、役員賞与と判断される場合もあり、その場合には損金不算入になりますので、法人税の追加課税が必要になる、つまり法人税が増加することになります。
これを避けるためには、契約を変えないのであれば、個人事業から会社に対して、店舗転貸借の家賃を適正に支払う、ということが必要です。契約も整える必要があるとともに、家主様との契約などでも、そうした行為が問題とならないか、調整が必要と思います。
2点目ですが、代表者が個人で行う事業のための支出費用を、法人が負担したとなれば、1点目と同様に代表者に対する給与等として所得税がかかることになるでしょう。法人税についても1点目と同様です。
これを避けるためには、会社としては、代表者個人の事業の費用を一旦立替えたものとして、代表者から返金してもらうことが必要です。
費用と収益が対応するというのが、会計や税務の考え方です。個人事業に対応する費用を、別の事業をしている法人が負担するという形は、費用と収益が対応しませんので、上記のような取り扱いになります。
以上回答とさせていただきます。
本投稿は、2017年01月19日 19時55分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。