個人から新規設立した株式会社への精算予定の非上場株式を譲渡した場合にかかる税金について
【質問】
以下のスキームで、会社精算時のみなし配当の所得を、個人から法人に切り替えて、
適用される税率を抑えることはできるでしょうか?
① 新規に株式会社(以下A)を設立
② 個人(私)保有の非上場株式会社(以下B)の株式を、Aに譲渡
③ Bを解散し、みなし配当をAが受け取る。
【背景と相談内容詳細】
家族経営の会社をたたむことになりました。
会社には3億円程度の土地があり、資本金は48百万円です。
持株比率は、私15%、父51% 母19% 姉15%です。
債権債務の整理や建屋の処分費用などもあるので、精算時の残金がいくらになるのかはわかりませんが、おおよそ土地の代金3億円が残ると予測しています。
その場合、残金が持株比率に応じて、みなし配当がされ、非上場株式に対しては、総合課税が適用されるという認識です。
会社が無くなり無職になった私は、別会社を設立し新規の事業を開始したいと考えています。
個人の所得になってから、課税された後のお金を資本金として会社を始めるよりも、
旧会社から新会社に直接お金を渡せた方が税金の面で有利なのではないかと考えての相談です。
両親は引退し、やむなく廃業することになった会社ですが、祖父の代から家族で頑張ってきた会社のお金なので、できるだけ次の事業に継承して行きたいと考えています。
[総合課税となってしまった場合の計算は以下だと思っています。]
みなし配当: 300,000,000円(3億)×15%−4,800,000円(48百万)×15%=37,800,000
給与所得:2,800,000円
所得控除:給与所得控除 2,450,000円 基礎控除 380,000円
課税所得:37,770,000円
所得税(40%)+住民税(10%):18,885,000円
法人税として課税された方が税率は安く抑えられると考えているのですがいかがでしょうか?
税理士の回答
こんにちは。
②の譲渡の金額はいくらにするかはお考えですか?
少し整理すると次のように言えます。
株式の取得価額:720万円(4,800万円×15%)
株式の適正時価:4,500万円(3億円×15%)
【株式をA社に720万円で売却した場合】
個人:所得税法上、時価で譲渡したものとして扱い、(申告分離課税として)譲渡益の20.315%が課税されます(約768万円)。
法人:A社は4,500万円の株式を720万円で購入することができたので、その差額を受贈益としなければなりません。税率には地域差があるのですが…仮に30%だとすると1,134万円の法人税・住民税・事業税が課されることになります。
【株式をA社に4,500万円で売却した場合】
個人:時価で譲渡しているため、(申告分離課税として)譲渡益の20.315%が課税されます(約768万円)。
法人:時価で取引しているため、株式購入時には課税されません。
よって、個人所有の状態で清算するときと比較して、総合課税から譲渡所得に変わるので税金は削減できると思います。そして、売却するのであれば4,500万円で売却するということです。ただ、租税回避行為だと認定される可能性があるように思います。
…というのが一般的な回答です。
もう少し詳しく話をお伺いすることができれば、節税策は色々と思いつきそうな話だな、と思いました(いくつか策は考えられます)。こういったネット上の相談ではなく、個人情報を含めた情報を税理士に渡して相談なさった方が良いと思います。
ありがとうございます!
一度、オンラインで相談させていただければ幸いです。
本投稿は、2022年09月03日 11時47分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。