個人事業主と個人事業主が代表者である会社との取引について
2026年4月より個人事業主として、業務委託を受けています。
ただし、諸般の事情により、契約上、法人契約を行うことが初年度はできません。
以下のような、取引の流れを検討しておりますが、それについて、質問させてください。
取引の流れ(金額は例)
①業務委託元→個人事業主へ委託(業務委託費100万円 消費税10万円、源泉所得税は10万円控除される。また、契約上、初年度よりインボイスの登録を行う必要がある。)
②個人事業主から再委託→新設予定の法人(業務委託費100万円 消費税10万円を請求)
③新設予定の法人(代表者は個人事業主本人。形態は合同会社、資本金は数十万円)にて、個人事業主は、従業員として50万円の給与を得る。
④新設予定の法人(インボイスの登録は行わない)は、初年度であるため、消費税は免税となる。また、法人税は確定申告を行う。
なお、契約書は、業務委託元と個人事業主、個人事業主と新設予定の法人は、それぞれ締結し、①の契約においては、再委託は禁止されていない。
質問項目
・この取引において、個人事業主は、業務委託元からの業務委託費と業務委託の再委託費が同額であるため、消費税の納税は発生しないという理解でいいか。
・個人事業主は、①の取引においては、所得が発生しないため、業務委託元が控除した源泉所得税は、個人事業主が新設予定の法人にて従業員として得た給与を、確定申告を行う。この場合、業務委託元が控除した源泉所得税は還付となる。
・個人事業主と新設予定の法人の代表者がイコールであるが、税務上、リスクまたは問題があるか。
税理士の回答
はじめまして。
税理士の田口がご回答させていただきます。
1. 個人事業主の消費税納税について
【結論:納税が発生します】
現在のインボイス制度下では、相手方が免税事業者(インボイス未登録)である場合、消費税の控除に制限がかかります。
計算式(2026年4月時点:80%控除の経過措置適用)
預かった消費税: 100,000円
差し引ける消費税: 100,000円 × 80% = 80,000円
納税額: 100,000円 − 80,000円 = 20,000円
したがって、個人事業主側でこの2万円分を負担(納税)する必要があります。
2. 源泉所得税と確定申告について
【結論:所得が発生するため、合算での申告が必要です】
上記の通り、消費税の控除しきれない2万円分が実質的なコスト(または所得のズレ)となるほか、法人への支払額が「妥当な市場価格」である必要があります(普通の商売であれば、受注額と同額で再委託はせず、多少利益を残す)。
所得の計算式
売上: 100万円
外注費(経費): 102万円(100万円 + 消費税の引けない20%相当分 2万円)
事業所得: 100万円 − 102万円 = △2万円(赤字)
※消費税の引けない2万円分は、所得税の計算上「経費」に移ってくるため、売上と外注費を完全に同額にした場合、所得計算上はズレが生じます。
※事業所得の場合は、赤字については給与所得と損益通算も可能ですが、給与収入が50万程度であれば、出番はないかもしれません。
もし条件のような所得だけの場合は、税額が発生しないので、いずれにせよ源泉所得税は還付になると思われます。
3. 代表者が同一であることのリスク(実態判断)
【結論:リスクがあります】
個人と法人が同一人物であり、かつ全く同じ事業内容を右から左へ再委託しているだけの場合、税務署から「租税回避(所得隠し)」や「実態のない取引」とみなされる恐れがあります。
リスクのポイント: 利益を法人に逃がして個人の税率を下げたり、社会保険料を不当に削減したりすることが目的と判断されると、法人への外注費そのものが経費として否認される可能性があります。
実務上の対策: 「契約上の都合で初年度はやむを得ずこの形態をとる」という合理的な理由がある場合、以上のような事情があることを、あらかじめ税務署等に事前相談を行っておくことを検討すると良いと思います。
その上で、「なぜ再委託を行うのか」等を明らかにした経緯書などを残しておき、客観的な証拠として記録しておくといったことをお勧めします。
いずれにせよ、長期間このような取引が継続することは望ましくないと思われます。
以上になります。
よろしくお願いいたします。
(誠に恐れ入りますが、弊社は往復での回答を致しておりません)
本投稿は、2026年04月12日 10時56分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。






