不動産所得の事業的規模の判定は?
私は会社員です。現在、アパートの収入とアルバイト収入があるため、確定申告をしています。この度相続により、閉院した病院建物を兄弟3人で相続する予定のため、相談させていただきます。
アパート一棟(現在個人で所有)
2階建て
全4部屋(1部屋約40㎡)
1室月約5万円×4=20万(賃貸中)
元病院の建物一棟(兄弟3名で共有名義で相続する予定)
4階建て(延べ床面積約925㎡)
一階 エントランス、駐車場 175㎡
2階 受付、待合、診察室等 290㎡
3階 手術室、入院室等 270㎡
4階 住居、190㎡
一棟貸しで月120万ぐらいを想定(これから借手を探す)
① これらの不動産所得について、今後は青色申告を選択して、病院やアパートの修繕費を経費としてまかなったり、管理費として専従者給与を捻出できるようにしたいのですが。(貸家5件でも、アパート10室でもありませんが、)上記の物件で、事業的規模として青色申告がみとめられるのでしょうか?
病院は共有名義で、当方の持分は1/3とする予定ですが、他の兄弟2名は能力的に物件の運用、管理、税金の申告などができないため、手続きは全て当方で肩代わりすることになります。
そこで、併せて質問します。
② 共有名義の物件を1棟貸しする場合、どのようにしたら手間も費用も抑えることができるのでしょうか?
家族信託で信託財産とするとか、合同会社を設立するとか、色々考えてみてはいますが、どれがベストかわかりません。相続の仕方も含め、良いアドバイスをいただけるとありがたいです。
税理士の回答
事業的規模の判定が形式基準に該当すれば、特に問題ありません。
しかし、形式基準に該当しなくても、実質的に判定し、事業的規模に該当する場合があります。
ただし、事業的規模に該当するか否かは、裁判で争われる程、難しい問題です。
今は、収入が多く見込める1棟が空き家との事ですから、その物件が決まった時に、税務署に相談する等して、その時に事業的規模の判断をされたら良いと考えます。
「抜粋・参考」
共有名義の不動産収入は、共有割合で、申告しますので、3人での申告は、やむを得ないと考えます。
No.1373 事業としての不動産貸付けとの区分
[平成29年4月1日現在法令等]
1 不動産貸付けが事業として行われているかどうかの判定
不動産などの貸付けによる所得は、不動産所得になります。
不動産所得は、その不動産貸付けが事業として行われているかどうかによって、 所得金額の計算上の取扱いが異なる場合があります。
不動産の貸付けが事業として行われているかどうかについては、原則として社会通念上事業と称するに至る程度の規模で行われているか どうかによって、実質的に判断します。
ただし、建物の貸付けについては、次のいずれかの基準に当てはまれば、原則として事業として行われているものとして取り扱われます。
(1) 貸間、アパート等については、貸与することのできる独立した室数がおおむね10室以上であること。
(2) 独立家屋の貸付けについては、おおむね5棟以上であること。

ご質問については、事業的規模で問題ないと思います。

10室に至らないため原則としては事業的な規模ではないですね。
その上で、金額的なものとして、過去の裁決事例等、事業的な規模として認められている事例の検証等され、税務的な理論武装をする必要があります。事業的規模として申告するのであれば。
といった負担がありますので、閉鎖した病院は第三者に売却されてはいかがでしょうか?他のご兄弟も管理が事実上できないのであれば、兄弟間の負担感も時間の経過ととともに不公平感が生じがちになりますし、不和の種になりかねません。
管理できる、それぞれが、理解できるものに絞ることも一案と言えましょうか。
他、相続税も含めた検討においては、被相続人となるかた、また、相続人となる方、総財産、何を重視すべきか、といった暗黙知の部分も含めて検討する必要がありますので、これらは、まず、被相続人となる予定の方からの相談となり、相続人の予定となる方からの相談はあまり有効ではないことも良くあります。まずは、被相続人となる父、或いは、母に、相続にあたってどうしたいのか、家族会議を開き、その上で、父、または、母から必要に応じてこれまでの顧問税理士の方等に相談していただくのがよろしいのかと存じます。

補足しますが、元病院を貸した後は、不動産所得は事業的規模と思います。
本投稿は、2018年07月23日 10時47分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。