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確定申告について

現在、派遣労働者として働いています。
時給1,500円で時給の中に時間当たり交通費71円が含まれています。
20日労働の場合、通勤費が71円×20日=11,360円が課税対象となります。
非課税分として所得税の対象から外したい時に、会社へ「通勤証明書」の発行依頼してもらい、確定申告時にかかった通勤交通費分に対して所得税の還付を受けることはできますか?

税理士の回答

 交通費を支給するかどうかは会社の自由な裁量に任せられていますので、時給の中に交通費を含んで支払うことについても何ら問題はありません。税法上では交通費は時給と分けて支給されることで、基本的に所得税が非課税となるのですが、交通費が別途支給されておらず、時給の中に含まれてしまっていると、時給のうち交通費に相当する分にも所得税がかかってしまいます。
 派遣先と派遣元の間で派遣者の交通費の額について取り決めがなされていない場合には、給与を支給する派遣元において交通費を証明することができないケースもあります。そのため、派遣元の会社では「通勤証明書」の発行を求められたとしても、それに応じることはできないということになります。
 時給に交通費が含まれていたとしても「通勤証明書」の発行は基本的に会社の義務ではありません。会社によっては「通勤証明書」を発行してくれることもあるかもしれませんが、仮に「通勤証明書」が発行されたとしても交通費分を取り戻すことができるわけではありません。
 国税不服審判所の裁決で、「通常の給与に加算して通勤手当等が支給されていない場合には、たとえ通勤者が通常の給与のうちから通勤費相当額を負担したとしても…当該通勤費相当額を非課税所得として給与等の収入金額から除外することはできない」とされています。
 残念ですが確定申告を行って、交通費込みで支給された給与から、交通費部分を抜き出して非課税とすることは困難とお考えいただいた方がよろしいでしょう。

e-taxの電子申告であっても還付は不可ですか?

(平20.6.19、裁決事例集No.75)
(1) 事案の概要
 本件は、人材派遣会社の派遣社員である審査請求人(以下「請求人」という。)が、同社から支払われた給与のうち、請求人が負担した自宅から派遣先までの通勤費相当額は非課税所得に当たるとして、これを給与等の収入金額から除外して給与所得の金額を計算し、源泉徴収税額の還付を求める申告をしたところ、原処分庁が当該通勤費相当額は非課税所得となる通勤手当には当たらないとして所得税の更正処分を行ったのに対し、請求人が同処分の全部の取消しを求めた事案である。
(1) 請求人
 次のとおり、A社からの給与のうち、本件各通勤費相当額は非課税とすべきであるから、原処分は妥当を欠くものであり、その全部の取消しを求める。
イ 非課税所得である通勤手当が給与に含めて支払われているという理由で課税されるのは、課税の公平から考えて妥当ではない。
ロ 通勤手当が別途支給されない派遣労働者が個人負担する通勤費は、給与を得るために必ず発生する必要経費であって、住宅手当の支給もなく、職場から遠い家賃が安く、通勤費の負担が大きい地域に住まざるを得ないという事情の下で、所得の処分と考えるのは無理があるから、税制上、一定の範囲で非課税措置(控除)が認められるのは当然のことである。

(1) 本件各更正処分について
イ 所得税法第9条第1項第5号は、通勤者が、その通勤に必要な交通機関の利用等のために支出する費用に充てるものとして通常の給与に加算して受ける通勤手当等のうち、一般の通勤者につき通常必要であると認められる部分として政令で定めるものを非課税とする旨規定している。したがって、通常の給与に加算して通勤手当等が支給されていない場合には、たとえ通勤者が通常の給与のうちから通勤費相当額を負担したとしても、給与所得の金額の計算上、当該通勤費相当額を、非課税所得として給与等の収入金額から除外することはできないと解される。
ロ これを本件についてみると、請求人は、本件各派遣期間に、A社から本件各給与を受けているところ、上記1の(4)のニのとおり、A社は、請求人に対して本件各派遣期間に係る通勤手当等を給与に加算して別途支給していないのであるから、請求人に所得税法第9条第1項第5号にいう「通常の給与に加算して受ける通勤手当」に該当するものがあるとは認められない。この他、本件各通勤費相当額を非課税所得とする規定はないから、これを非課税所得として、各年分の給与所得の金額の計算上、給与等の収入金額から除外することはできない。
ハ 請求人の主張について
(イ) 請求人は、1非課税となる通勤手当が給与に含めて支払われているという理由で課税されるのは、課税の公平の点から妥当ではない旨主張する。
 しかしながら、所得税法は、上記1の(3)のロのとおり、給与所得者が使用者から受ける給付は、すべて給与所得に係る収入金額とするのを原則としており、通勤手当等の使用者が業務の遂行上負担すべき費用として支給する給付のうち、給与と明確に区分して支給され、使用者が実質的な負担者であるとみることができる実費弁償の性格が外見上も明らかなものに限って、非課税所得としている。
 以上のような法令の規定及び趣旨に照らせば、所得税法第9条第1項第5号が定める、通勤手当等が通常の給与に加算して支給されるものには当たらない通勤費相当額を非課税とすることはできないし、給与所得控除及び特定支出控除以外に給与所得の収入金額から通勤費相当額を控除することはできない。

本投稿は、2024年01月10日 14時42分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。

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