上場株式の譲渡益に対する課税が免除される金額を知りたい。
お世話になります。
上場株式の譲渡益は分離課税ですが、特定の場合は税金を支払わなくてよいと聞きました。以下の理解であっておりますでしょうか?
1.確定申告を行う場合
→どの様な場合でも必ず税金を支払う必要がある。
2.給与所得があり、年末調整で済ませて確定申告をしない場合
→その他の所得と合わせて20万円以下であれば申告不要となり税金を支払う必要が無い。
3.給与所得が無い場合、あるいは給与所得控除以下の給与を受け取っている場合
→基礎控除48万円+20万円の68万円以下であれば申告不要で税金を支払う必要がない。
補足などもありましたらご教授頂けますと大変助かります。
よろしくお願いいたします。
税理士の回答
矢尾正俊
ご質問ありがとうございます。上場株式の譲渡益に対する課税免除については、概ねご理解の通りです。以下に詳細を説明いたします。
結論:
1. 確定申告を行う場合:
原則として税金を支払う必要がありますが、例外もあります。
2. 給与所得があり、年末調整で済ませて確定申告をしない場合:ほぼご認識の通りです。一部条件があります。
3. 給与所得が無い場合、あるいは給与所得控除以下の給与を受け取っている場合:概ね正確です。48万円以下であれば不要です。
1. 確定申告を行う場合
原則として、上場株式の譲渡益に対して20.315%(所得税15%、復興特別所得税0.315%、住民税5%)の税金が課されます1。ただし、以下の例外があります:
特定口座(源泉徴収あり)で取引を行い、他の所得と損益通算や繰越控除を行わない場合、確定申告は不要です。
スタートアップ支援策として、2023年2月1日以降、一定の条件下で最大20億円まで譲渡益の課税が免除される制度が創設されました。
2. 給与所得があり、年末調整で済ませて確定申告をしない場合
基本的に正確ですが、以下の条件を満たす必要があります:
・給与の年間収入金額が2,000万円以下であること。
・給与所得および退職所得以外の所得の金額の合計額が20万円以下であること。
所得税法第121条では、「その年において給与所得を有する居住者で、その年中に支払を受けるべき第28条第1項(給与所得)に規定する給与等(以下この項において「給与等」という。)の金額が2000万円以下であるものは、次の各号のいずれかに該当する場合には、前条第1項の規定にかかわらず、その年分の課税総所得金額及び課税山林所得金額に係る所得税については、同項の規定による申告書を提出することを要しない。」と規定されています。
3. 給与所得が無い場合、あるいは給与所得控除以下の給与を受け取っている場合
この場合、基礎控除(48万円)に加えて、所得金額調整控除後の給与等の金額から所得控除の額を控除した後の金額が48万円以下であれば、原則として確定申告は不要です。
ただし、上場株式等の譲渡所得については、所得税法上、他の所得と区分して計算される分離課税所得とされているため、基礎控除の適用はありません。
したがって、上場株式等の譲渡所得のみの場合、譲渡益が20万円以下であれば、申告不要制度を選択できます。
補足
・上場株式等の譲渡損失がある場合、確定申告を行うことで、最大3年間の繰越控除が可能です。
・配当所得がある場合、総合課税を選択することで配当控除の適用を受けられる可能性があります。
・特定口座(源泉徴収あり)を利用している場合、原則として確定申告は不要ですが、確定申告を行うことで、他の所得との損益通算や繰越控除が可能になります。
本投稿は、2024年12月29日 20時08分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。







