株式異動証明書中の無償増資の扱いについて

① 結論
計算方法の方向性は正しいかと思います。
無償増資（株式分割と同じ扱い）によって株数が増えた場合、元の取得価額を総額ベースで按分します。
したがって、
512円 × 2,000株 ÷ 2,315株 ＝ 約443円／株
という算定は実務上正確で問題ありません。

② 理由
無償増資（オーナーに新株を無償で割り当てる増資）は、株主に経済的利益を発生させないため、取得価額の総額は変わらないです。
したがって、増資後の各株式の取得価額＝（取得時の総額）÷（増資後の総株数）という按分方式が税務の基本ルールです。

②の理由と①の相違点がちょっと理解できません。同じように思うのですが、何が違うのでしょうか？手数料は反映できていませんが。

① 結論
相談者様が感じている「①と②、同じことを言っていないか？」という疑問は、まさにおっしゃる通りでございます。①と②は“言っている内容は同じ”です。
違うのは
①結論（計算式・結果）を具体的に示した部分
②その計算式になる理由（考え方・税務ルール）を説明した部分
と、結論と理由を分けております。内容が矛盾しているわけではありません。

② 分かりやすく説明すると
①で説明しているのは「どう計算するか」
②で説明しているのは「なぜその計算になるか」
です。
③ 手数料を反映しなかった理由
今回のケースで最も大事なのは以下の点です。
“取得価額の総額が変わらない”という説明は、→ 手数料込みの総額を使う前提（つまり「手数料を無視して良い」という意味ではありません）
正しい計算式は
（取得価額総額 ＝ 購入単価×株数 ＋ 購入手数料）÷（無償増資後の最終株数）

手数料が2,000円なら例として
(512円×2,000株 + 2,000円) ÷ 2,315株
＝ 約443.4円
※ 四捨五入などで443円で処理して問題ありません。
つまり、
①の計算例では「説明簡略化のため手数料を省いた」だけで実務上は 手数料を含めた総額で按分するが正しい運用です。