定期券購入は「立替」ですか?
フリーの紙面編集者としてある新聞社と業務委託契約を結んで、そこで働いております。毎月末に出勤日数分の業務委託費と交通費を請求して、翌月末に振り込まれるサイクルで回っています。
今回交通費についてなのですが、週5日程度、決まった場所で働いているため、会社に「定期にした方が安く済むので、定期代を請求しますが?」と問い合わせたところ、会社は毎回電車賃を払う形の方が都合いいというので、そうしてきました。
そのため、定期で通勤をしていながら、請求する金額は出勤日数×往復の電車賃となり、こちらとしてはその差額を余分にいただく形でやっています。
このような場合、確定申告の際、請求書で頂いた交通費を立替金として計上し、請求額-定期代=余計に頂いた分は、差額を雑収入として処理すればいいというのは知っているのですが、今回はその「応用」でつまずいています。
私は定期代の購入を「立替」として、月々入ってくる交通費(出勤日数×往復の電車賃)で少しずつ回収していく計上の仕方をしていたのですが、先日、立替金がマイナスになってしまったようで、会計ソフトのワーニングが出て、修正できずに困っています。
そもそも定期券の購入を「立替」とするのが間違っているのでしょうか? 交通費を経費ではなく、立替として処理していきながら、定期券をどう考えたらいいのか、よいやり方があれば、教えてください。よろしくお願いいたします。
税理士の回答
経理には様々なやり方がありますが、実費で請求し、それを同額もらう形式ではない以上、立替とするのは違うと思いますよ。
「立替金」とは、本来クライアント(新聞社)が支払うべき費用を、あなたが一時的にポケットマネーから立て替えただけの時に使う科目です。今回のケースで立替金がマイナスになったのは、以下のようなねじれが起きたためです。定期券は「あなた自身」が通勤のために購入したものであり、新聞社が「その定期券そのものを買い取って所有する(新聞社の経費になる)」わけではありません。新聞社は「出勤日数×往復電車賃(日割)」をあなたに支払っています。しかし、あなたは「定期代」という異なる金額の領収書を元に立替金を立てています。回収する額(日割)の総額が、購入した額(定期代)を上回ったため、引き算がマイナス(回収しすぎの状態)になってしまったのです。
業務委託契約(フリーランス)における交通費は、実費精算であっても、原則として「報酬(売上)」の一部として扱います。「立替金」ではなく、「売上(または旅費交通費のマイナス)」と「経費(旅費交通費)」の組み合わせで処理するのが最もシンプルで、税務署からも突っ込まれない正しいやり方です。以下の2パターンのうち、ご自身の請求書の書き方に合わせてどちらかを選んでください。
パターン①:一番おすすめ(売上と経費に分ける方法)新聞社から支払われる「交通費」も、あなたの事業の売上(収入)として計上し、実際に支払った「定期代」をあなたの経費にする方法です。お金が入ってきたとき(請求・入金時)は、新聞社に請求する「出勤日数×往復電車賃」は、すべて「売上高」(または報酬)として処理します。定期券を買ったときには、購入した定期代の全額を「旅費交通費(経費)」として処理します。
こうすうすると、差額が自動的にあなたの「利益(事業所得)」になり、雑収入に振り分ける手間もなくなります。
パターン②:売上を増やしたくない場合(旅費交通費で相殺する方法)
契約上、どうしても売上と交通費を明確に分けたい場合の処理です。定期券を買ったときには、定期代の総額を「旅費交通費(経費)」で落とします。お金が入ってきたとき(請求・入金時)には、新聞社から入ってきた交通費(日割分)を、「旅費交通費」の貸方(マイナス)として処理します。 この処理にすると、旅費交通費の残高がプラスになります。確定申告の際、経費がプラス(収入状態)になっているのは不自然なので、このプラスになった分だけを期末に「雑収入」に振り替えます。複雑なので①がお勧めです。
会計ソフトのワーニングを消すための「修正手順」
これまでの「立替金」の残高を一度ゼロに戻し、正しい科目に修正する必要があります。今年度の帳簿を以下のように修正してください。
過去の「定期券購入」の仕訳を変更する
【修正前】(借方)立替金 /(貸方)現金など
【修正後】(借方)旅費交通費 /(貸方)現金など
過去の「交通費の入金(または請求)」の仕訳を変更する
【修正前】(借方)売掛金や普通預金 /(貸方)立替金
【修正後】(借方)売掛金や普通預金 /(貸方)売上高
(※パターン①の場合) または 旅費交通費(※パターン②の場合)すべての仕訳をこのように書き換えれば、立替金のマイナス(ワーニング)は消え、自動的に正しい差額(益出し)が計算されるようになります。
税務上の注意点(おまけ)
会社側が「毎回電車賃を払う形がいい」と言っている以上、あなたが定期を買って差額を得ていること自体は、業務委託契約であれば(給与所得ではないため)法律や税務上で違法になることはありません。ただし、新聞社から受け取った交通費(日割分)よりも、自分が実際に支払った交通費(定期代)の方が安いため、その差額分は「あなたの儲け(課税対象の利益)」になります。 上記のパターン①か②の方法で処理すれば、その差額にも正しく税金が計算されるため安心ですよ。
丁寧に答えていただき、ありがとうございます。
税制上のメリットを考えて、パターン②に挑戦してみるつもりです。
今回はありがとうございました。
参考になれば幸いです。よろしくお願いいたします。
御礼の挨拶までしておきながら恐縮ですが、最後にもう1つ教えてください。
パターン②の最後の部分、「このプラスになった分だけを期末に「雑収入」に振り替えます」というところですが、具体的にどう仕訳したら相殺の形を作れますか? 今から入力しておいて、最後に数字の部分だけ差し替えようと思います。よろしくお願いいたします。
修正の具体例(※1ヶ月の定期代が1万円、今月の請求交通費が1万5千円だった場合)毎月の入金(または請求)の仕訳を以下のように書き換えます。
(借方)普通預金 15,000円 /(貸方)立替金 10,000円(実際の定期代分だけを回収)
(貸方)雑収入 5,000円(もらいすぎた差額分)
このように、貸方の「立替金」を実際に支払った定期代(上限)までに抑え、プラスになった分を「雑収入」にすることで、立替金の残高が綺麗にゼロになり、ワーニングが消えます。
ありがとうございます。大変お世話になりました。
参考になれば幸いです。よろしくお願いいたします。
本投稿は、2026年09月14日 12時56分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。







