個人事業主の耐用年数経過後の未償却残高の処理について
償却資産の耐用年数を誤って(19年を30年)減価償却を行っていたことが判明しました。本来の償却年数に引き直して減価償却計算を行ったところ4年前に償却済み(簿価1円)になっていますが、更正の請求による耐用年数の変更、償却額の変更は可能でしょうか?
また、更正の請求ができず、減価償却できない場合は未償却残高(帳簿価格)をどのように処理したらよいかご教示ください。
税理士の回答

こんにちは。
個人事業主の場合、減価償却費は強制償却されます(所得税法 第37条、第49条)。つまり、誤った減価償却費を帳簿に付けていようが、税務上は正しい減価償却費であるという前提に立ちます。この前提に立つと、税務上は「ご質問者様が間違えた申告書を提出し、間違えた税額を納めている」と考えます。
では、過去の申告書を修正できるか?というと、5年の時効があると考えてください(正確には「時効」ではないのですが、わかりやすく「時効」と呼称しますね)。起算点は法定申告期限から5年ですので…2016年度の申告は2017年3月15日までなので、この日から5年で時効を迎えます。よって、ご質問者様が過去に遡って修正できるのは2017年度の申告からだ、と考えてください。
ご質問の「4年前に償却済み」はいつの年度を指しているのか不明確ですが、2017年度だとして、この年度は本来の償却費よりも申告の償却費の方が低かったとして考えましょう。すると次のようになると思います。
【2017年度】本来の償却費 > 申告の償却費(つまり、税額が過大)
【2018年度】本来の償却費 < 申告の償却費(つまり、税額が過少)
【2019年度】本来の償却費 < 申告の償却費(つまり、税額が過少)
【2020年度】本来の償却費 < 申告の償却費(つまり、税額が過少)
【2021年度】本来の償却費 < 申告の償却費(つまり、税額が過少)
よって、2017年度は税金の還付になるが、2018~2021年度は追加で納税しないといけない、ということになると思います。納税額が過少であれば税務調査等で発見されてしまうとペナルティもあるため、早めに対応(修正申告を行って追加納税)しないといけません。手続的な具体的なやり方は税務署に相談に行った方が良いと思います(文章だけで伝えるのは難しいですし、節税の相談でなければ税務署は教えてくれます)。
ご丁寧な回答ありがとうございます。早速税務署に行ってこようと思います。
本投稿は、2022年08月21日 20時23分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。