兄名義の住宅を私(弟)の名義に変更した場合の贈与税について
初めまして。兄が10分の9、私(弟)が10分の1を所有する住宅の名義を10分の10、つまり、すべての所有を私(弟)に名義変更しました。住宅は築40年以上の古い中古マンションです。売買ではありません。しかし、兄から譲りうけるときに私がお金を出してリフォームをしました。300万円ほどかかっています。この場合の300万円分は贈与税の申告の際に、課税対象から控除してはもらえないでしょうか。兄にお金を払ったわけではないので、あるのはリフォーム会社からの領収書やリフォーム箇所の報告書だけです。また、リフォームをしてから、住宅の名義変更をしています。贈与は贈与とみなされると思うのですが、なんだか府に落ちません。やはり、難しいでしょうか。回答よろしくお願い致します。
税理士の回答

リフォームをしてから住宅の名義を変えたとなりますと、厳密に考えますと次のような取扱いになります。
① まず、共有名義の住宅のリフォームは、名義人がその所有割合に応じてリフォーム代金を負担する必要があります。ご質問では、リフォーム代金を全額相談者様が負担されたとのことですので、リフォーム代金の9/10(270万円)が相談者様からお兄様へ贈与されたとみなされて、お兄様に贈与税が課されます。
② そして、マンションの名義を相談者様に変えた時点で、マンションの相続税評価額の9/10相当額を課税標準額として、相談者様に贈与税が課されます。
このような場合において①のリフォーム代金を相殺するときには、マンションを売買する契約として、その代金からリフォーム代の立替分(本件の場合は270万円)を相殺するという方法をとる必要があります。
また、贈与税の課税対象からリフォーム代を控除するためには「負担付贈与」とする必要がありますが、こちらの方法の場合には贈与税の課税価格が「相続税評価額」ではなく「通常の取引相場」となるため、贈与税額が増加する可能性があります。
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/zoyo/4426.htm
いずれにしても非常に複雑な内容になりますので、関係書類をご用意のうえ専門家にご相談されるのが宜しいと思います。
宜しくお願いします。
ご回答いただきましてありがとうございます。わかりやすく教えていただいて、それがいったいどういうことなのか把握することができました。
ひとつ疑問に思ったことがあるのですが、贈与ではなく、兄と売買契約をして、兄からマンションを現在の評価額と同額で購入していたとしたら、その場合の税金はどうなったのでしょうか?

ご連絡ありがとうございます。
贈与でなく売買としていた場合には、次のような考えになります。
① 相談者様(買主)
売買代金をお兄様に支払うことになりますが、その際に、リフォーム代金のお兄様負担分(270万円)を差し引いて精算します。そして、マンションのお兄様名義(9/10)を相談者様に変更します。売買で所有権を移転する場合には、相談者様に贈与税がかかることはありません。なお、売買のときの価額は評価額ではなく「時価」(取引相場)で行う必要があります。
② お兄様(売主)
売買価額を収入金額として譲渡所得の計算が必要になります。譲渡価額が「取得費と譲渡費用の合計額」を超えて譲渡益が生じる場合には所得税住民税が生じます。その際は所得税の確定申告を行って納税する必要があります。
以上、ご参考になれば幸いです。
続けてご回答いただきましてありがとうございます。わかりやすく教えていただいたおかげで私のようなものでもなんとか理解することができました。
単純に兄から無償で譲り受けたとして贈与税の申告をしようと思います。
とても勉強になりました。ありがとうございました。
本投稿は、2018年02月19日 13時10分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。