退職金の相続について
先週父が急死したのですが、
退職金を相続する際、一度自分の口座に振り込んでもらって分配する場合、その時贈与税はかかりますでしょうか?
税理士の回答
上田誠
被相続人(お父様)が亡くなったことにより支給される死亡退職金は、
相続人が受け取る際に「相続財産」として相続税の対象になります。
ただし、以下の非課税枠が認められています。
非課税限度額 = 500万円 × 法定相続人の数
たとえば法定相続人が3人(配偶者と子2人)の場合、
500万円 × 3 = 1,500万円まで非課税 になります。
この限度額を超える部分についてのみ、相続税の課税対象となります。
「一度代表者の口座に入れる」場合の注意点として、
実務上、退職金を受け取るために
「代表相続人(例:長男)」の口座にまとめて振り込まれることがあります。
この場合でも、贈与税はかかりません。
なぜなら、もともと退職金は「相続財産」であり、
相続人全員が法定相続分や遺産分割協議書に基づいて分配する行為は、
「相続による取得」として扱われるためです。
贈与税がかかってしまうケースとして
次のような場合には「贈与」とみなされ、贈与税の対象になる可能性があります:
• 相続分に関係なく、任意の配分で分けた場合
(例:兄が自分の取り分以上を妹に渡す)
• 分配時に、相続協議書などの法的根拠がない場合
• 相続手続きが完了してかなり後に任意に分けた場合
このようなときは、贈与税の課税リスクが発生します。
対応のポイントは
1. 退職金は「死亡退職金」として相続財産に含める
2. 遺産分割協議書に、退職金の分配内容を明記しておく
3. 振込は代表口座で受けても問題なし(協議書の通りに分ければOK)
4. 相続税の申告が必要な場合は、相続開始から10か月以内に行う
増井誠剛
退職金は、死亡により支給されるものであれば「死亡退職金」となり、相続税の課税対象に含まれます。支給先が遺族代表としてあなた一人の口座に振り込まれる場合でも、そのお金は法定相続人全員の共有財産にあたります。したがって、後から相続人間で分配しても、それは「贈与」ではなく「遺産の分割」であり、贈与税の対象にはなりません。
ただし、分配額が法定相続割合を大きく超える場合や、分割協議書に基づかない恣意的な配分を行うと、超過部分を贈与とみなされる可能性があります。
結論として遺産分割協議に基づく分配であれば贈与税は不要、ただし書面の整備が重要です。
本投稿は、2025年10月28日 12時03分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。







