贈与税における「生計を一にする」について
贈与税において下宿の大学生が「生計を一にしている」と認められる条件について相談があります。
この生計を一にするには学生本人の収入は関係あるのでしょうか?
アルバイトなどで1円でも収入があれば除外されるのでしょうか?
また学生が自分の収入を娯楽費に充て両親からの仕送りを生活費に充てている場合どうなのでしょうか?
娯楽費に充てている自分の収入があるので生計を一にすると認められず贈与税が課税されてしまうのでしょうか?
色々と質問をしてしまい申し訳ありませんが、よろしくお願いいたします。
税理士の回答
相続税(贈与税を含む)の「生計を一にする」とは、所得税の「生計を一にする」と同義でよいと考えられています(所得税基本通達2-47の「生計を一にするの意義」)。
よって、以下、所得税法を見ていきます。
1,まず、税法における「生計を一にする」の意義ですが、国税庁はHPの「その他法令解釈に関する情報」において、
【・・・「生計を一にしている」とは、必ずしも同一の家屋に起居していることをその要件とするものではなく、次のような場合には、それぞれ次によることとなる。
(1) 勤務、修学、療養等の都合上他の親族と日常の起居を共にしていない親族がいる場合であっても、次に掲げる場合に該当するときは、これらの親族は生計を一にするものとされる。
イ 当該他の親族と日常の起居を共にしていない親族が、勤務、修学等の余暇には当該他の親族のもとで起居を共にすることを常例としている場合
ロ これらの親族間において、常に生活費、学資金、療養費等の送金が行われている場合】
と公表しています。
2,次に、仕送りを受けている子供にアルバイト収入等がある場合ですが、
所得税法において扶養親族となるには、「生計を一」、「年間の合計所得金額が48万円以下(給与のみの場合は給与収入が年間103万円以下)」という条件があります。
よって、ご質問の「下宿をしている大学生が、本人のアルバイト収入を娯楽費にあてている場合、親からの仕送りには贈与税がかかるか?」ですが、下宿をしている子供のアルバイト収入が年間103万円以下(扶養親族)であれば、仕送りが贈与とみなされることはありません。
質問にご回答いただきありがとうございます。
子どもの年収が年間103万を越えている場合贈与とみなされうるということなのでしょうか?
大学院生の子どもが年収で150万程度あるが、それであらゆる生活費を賄うのは厳しいと判断して親が仕送りで援助している場合は贈与とみなされる可能性があるということなのでしょうか?
あらゆる生活費を賄う→家賃などの生活費と学費を賄うに訂正します
ご質問に回答いたします。
下宿をしているお子さんのアルバイト収入が扶養の範囲内というのは、「生活するのに十分な収入がない」とみなされる安全圏です。
しかし、通われている大学が都市部か地方かによって家賃や物価水準も変わってきますし、医学部等は学費も高くなるので、お子さんのアルバイト収入150万円程度で学費や家賃、生活費の全てを賄うことは難しいと考えられます。
税法には親からの仕送りがいくらであれば贈与の対象とはならない等の明確な規定はありませんが、「社会通念上適当であるか」という観点から、ケースごとに判断しているようです。
ご質問いただいた内容では、お子さんが学費や家賃、生活費など全てを賄うほど十分な収入があるとは考えにくく、親からの仕送りが贈与税の課税対象となる可能性は極めて低いと考えます。
遠藤先生、再びご回答いただきありがとうございます。
株式や車の購入に費やすなどのレベルで無ければ基本的には対象に入ることは無いということなのでしょうか?
本投稿は、2021年12月05日 18時57分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。