名義保険、どうすればよいのか
10年ほど前に一時払いの死亡保険に加入しました。
240万円ほどで死亡時に300万円のものです。解約時に返戻金ありで、運用で少しずつ増えていくものです。
契約者は名義は子供で被保険者も子供ですが、実際の保険料は親が負担しています。受取人は親です。
お恥ずかしながら最近名義保険ということを知り、問題があるのではないかと思いました。
・子が先に亡くなった場合、受け取った親はどのように申告すればよいのでしょうか。
・親が生きているうちに解約してしまうのが良いのかとも考えていますが、解約時に解約返戻金を受け取った場合、増えている分に関して、契約者と受取人が同一の場合一時所得になるようですが、名義上子が契約者になっている場合はどのようになるのでしょうか。恐らく解約しても50万円以上増えていることはないです。親が支払ったことの証明は銀行口座の送金記録くらいしかありません。領収書も子名義です。
・親が先に亡くなった場合、どのようなあつかいになるのでしょうか。親死亡時に相続関係で必要な手続きはあるでしょうか。
・受取人を子の兄弟に変更した場合、贈与ということになるのでしょうか。
宜しくお願い致します。
税理士の回答
子供さんがお亡くなりになった場合、受取人である親御さんが死亡保険金を受取りますが、この保険金は相続税の課税財産となります。
中途で解約した場合、解約返戻金は契約上の契約者が受け取ることになります。この場合、受取額-支払保険料-50万円の金額の2分の1が契約者である子供さんに対して他の所得に加算され、一時所得として所得税が課税されます。
実際に保険料を親御さんが負担している場合、親御さんが亡くなった時点で解約したとした解約返戻金相当額が「保険に関する権利」として、契約者である子供さんの相続税法上の「みなし相続財産」として相続税の課税対象となります。
保険金の支払い原因となる「被保険者の死亡」や「満期」の前に受取人を変更した場合は契約者と受取人との関係、保険金の支払い原因によって課税内容が異なります。
池田様
回答ありがとうございます。もう少し質問させてください。
・子が先に亡くなった場合、自分のお金で子にかけていても、子からの相続になるということでしょうか。名義が子だからでしょうか。この場合保険の控除500万円に含まれるものでしょうか。それとも基礎控除3000万円に含まれるものでしょうか。
・解約返戻金に関しては理解できました。もし解約した場合はそのまま親に返還すれば問題ないでしょうか。
・みなし相続財産は親が亡くなった際の相続税の対象ということであっていますか?この場合、相続税の基礎控除内に収まっていれば特に申告は必要ないのでしょうか。
・上記で親が亡くなって相続した形になっている保険の受取人を親から兄弟に変更して、被保険者が亡くなった場合、受け取った兄弟はどのように申告したらよいのでしょうか。満期もなく解約か死亡時しか保険料が支払われることはないものです。
また、親が亡くなった後に被保険者が解約した場合も上記の場合と同じ一時所得として所得税の対象ということでよいでしょうか。
気になっているのは親がなくなった際に何か申告が必要なのかという点と、受取人を親から兄弟に変更した後のことです。
資産もなく、相続するものは同じ保険に親が自分で入っている300万円と預貯金が少しあるくらいで、基礎控除3000万円を超えることはありません。
・実際の保険料の負担者である親御さんから保険料相当額を保険契約者である子供さんに贈与し、そのお金を契約者であろ子供さんが保険会社に保険料として支払っていると取り扱います。契約者及び被保険者が亡くなって、死亡保険金を受け取った場合は相続税法上、「みなし相続財産」として死亡保険金について相続税の課税対象となります。その場合、法定相続人1人あたり500万円が非課税となります。非課税額を控除した残額が課税価格に算入となり、課税価額総額から基礎控除の3,000万円+600万円×法定相続人数を控除します。
前回回答のとおり保険料は親御さんから契約者である子供さんが贈与を受けて保険料を支払ったとなるため、親御さんに解約返戻金を渡せば、子供さんから親御さんへの贈与となります。
みなし相続財産とは民法上は相続財産ではないが、(死亡保険金は被相続人から相続人に移転するのではなく、契約により保険会社から契約上の受取人に支払われるものであるため)相続財産と結果的には変わらないため、相続税法で相続財産として取り扱われる財産のことです。
これには死亡保険金・死亡退職金・生命保険に関する権利(解約返戻金)などがあります。
みなし相続財産には前述のとおり契約者=被保険者の死亡保険金や死亡退職金などがあり、死亡保険金の契約者=被保険者の契約で保険事故となる被保険者が死亡した際の死亡保険金が支払われた場合がこれに該当します。
財産総額が前述の基礎控除の金額に満たない場合は相続税の申告は不要です。
受取人である親御さんが亡くなっても、受取人に権利が発生するわけではない(保険金を受け取る訳ではない)ので、税務上は何も手続きは必要ありません。保険会社で受取人の変更手続きをして下さい。被保険者が契約を解約するのではなく、解約は契約者がするのです。(この場合は同一人ですが)解約すれば、解約返戻金は契約者に支払われます。よって一時所得の対象となります。
池田様
回答ありがとうございます。
詳しく説明をいただき感謝しております。
保健料相当額を贈与されたと取り扱うとのことですが、今調べたところ贈与税がかかる金額のようなのですが、申告しておりません。
実際に保険料を親御さんが負担している場合、親御さんが亡くなった時点で解約したとした解約返戻金相当額が「保険に関する権利」として、契約者である子供さんの相続税法上の「みなし相続財産」として相続税の課税対象となります。
これは贈与税の対象ではなく相続税の対象として扱うということでしょうか。
1年間の支払保険料が贈与税の基礎控除額110万円を超えているのであれば、期限後申告となりますが、直ちに申告して下さい。(平成30年分~令和5年分)
実際の保険料の負担者が親御さんである場合、前述のとおり毎年の保険料を契約者である子供さんに贈与し、そのお金で契約者である子供さんが保険料を支払ったことになりますので、保険料の負担者は契約者である子供さんであるということになります。この贈与税の申告により契約者と実際の保険料負担者が同一人であることの証明となります。
「保険に関する権利」として相続税が課税されるのは、契約者である子供さんが死亡した時ですが、お尋ねの保険契約は被保険者も子供さんですので、「保険に関する権利」ではなく、死亡保険金が保険会社から支払われるため、受取人である親御さんに課税となる相続税の対象となります。
池田様
回答ありがとうございます。
最初に記載いたしましたが、保健料は10年前に一括で支払っています。
この場合はどうすればよいのでしょうか。
お恥ずかしながら贈与税についても今回調べて分かったくらいで、名義保険についても偶然知りました。
大きなお金が動くことのない家計で、父が亡くなり、母が受け取った保険金で保険に加入した次第です。保険金も相続税のかからない金額でした。
10年前に保険料一時払いとのことですので、保険料の親御さんから子供さんへの贈与については、贈与税は時効により国は賦課徴収権は消滅しています。
そうすると、真の契約者・被保険者・受取人は契約のとおりとなります。
よって、この保険が満期となった場合は子供さんから親御さんへの贈与となり、受取額が課税額となります。被保険者(子供さん)がお亡くなりになった場合は契約上の受取人である親御さんが死亡保険金を受け取ることになり、被相続人(子供さん)から「みなし遺贈」があったことになります。
もし、被保険者である子供さんに配偶者及び子(あなたの孫)がいる場合は受取人は相続人ではないため、死亡保険金の非課税枠(500万円×法定相続人)の適用はありません。被相続人である子供さんに配偶者及び子(あなたの孫)がいなければ、相続人は親御さんとなりますので、ご両親とも健在であれば500万円×2=1,000万円が死亡保険金に係る非課税額及び相続税の基礎控除額3,000万円+600万円×2人=4,200万円となります。
課税額をできるだけ少なくするためには、保険事故(被保険者の死亡)や保険契約の満期の前に契約者・被保険者を親御さんに、満期の場合の受取人を親御さん、被保険者死亡の場合の受取人を子供さんへ変更することをお勧めします。
池田様
回答ありがとうございます。
知らない事ばかりで困っておりましたが、ご助言を参考に対応していこうと思います。
本当に丁寧なご回答ありがとうございました。
重ねて御礼申し上げます。
本投稿は、2023年07月24日 15時33分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。