父の事業を継承しないで小規模宅地特例について
最近父が亡くなり、父が所有していたビルを相続することになりました。
父は法人を経営しており株式を半分以上持ってます。ただ、会社としては休眠状態です。
5階に父が住み、4階が父の法人が所有しておりました。父が亡くなる直前まで家賃は毎日父自身に払っており、父の法人が借りていたことになります。
現在ビルには3階に別法人、4階に父の法人が解散しないで残ったままあります。
父の株は私に自動的に相続になりましたが、解散予定なので特に事業を継承することはしておりません。また、5階の父の住まいにも住んでいないですし、住むつもりもありません。父の住まいは現在空室です。
質問:
この状況で小規模宅地特例は使えるのでしょうか?貸付事業用宅地の「特定同族会社の事業の用に供されている(貸付専業の会社を除く)」
を満たしているに当てはまると思い。減額割合50%を期待しております。
また、株を相続した手続きは特にとっておらず、父と生計を一緒にしていないですが、「特定同族会社事業用宅地等の特例の適用要件」に当てはまるでしょうか?そうすると80%の減額が認められるので
よろしくお願いします。
税理士の回答

石割由紀人
ご質問のケースでは、お父様の事業を継承しない状況での小規模宅地等の特例の適用について、貸付事業用宅地としての50%減額は難しく、特定同族会社事業用宅地等としての80%減額の適用を検討する余地があるという結論になります。
貸付事業用宅地としての適用が難しい理由
貸付事業用宅地の特例は、不特定多数の第三者に対して不動産を貸し付ける事業を対象としています。お父様がご自身の法人に建物を貸し付けていたケースは、これに該当しないため、貸付事業用宅地としての特例の適用は難しいと考えられます。
特定同族会社事業用宅地等としての適用を検討する理由
特定同族会社事業用宅地等の特例は、被相続人や親族が株式の50%超を保有する会社(特定同族会社)の事業に使われていた宅地を対象としています。ご質問のケースでは、お父様が会社の株式の半分以上を保有しており、4階部分が法人の事業に使われていたため、この要件を満たします。
特定同族会社事業用宅地等の特例の適用要件
特定同族会社事業用宅地等の特例を適用するためには、以下の要件を満たす必要があります。
株式の保有要件:被相続人と親族が、会社の株式の50%超を保有していること。
事業の用に供されていること:宅地が、特定同族会社の事業に使われていること(不動産貸付業を除く)。
保有継続要件:相続人が、相続税の申告期限までその宅地を保有していること。
賃貸借契約の要件: 同族会社が、被相続人に対して相当の対価を支払って土地や建物を借りていること。
建物の所有者の要件:建物が、特定同族会社、被相続人、または被相続人と生計を一にする親族のいずれかの所有であること。
役員要件について
特定同族会社事業用宅地等の特例の適用要件として、以前は「相続人が、相続税の申告期限までにその法人の役員になっていること」という要件がありました。しかし、この役員要件は、令和3年度の税制改正で廃止されました。
つまり、現在では、相続人が会社の役員である必要はありません。被相続人や生計を一にする親族が役員である必要もありません。
この改正により、相続人が必ずしも会社の経営に関与していなくても、特定同族会社事業用宅地等の特例が適用される可能性が広がりました。ご質問のケースでは、あなたが会社の役員になっていなくても、他の要件を満たせば、特例の適用を受けることができます。
生計を一にする親族の要件について
特定同族会社事業用宅地等の特例では、相続人が被相続人と生計を同一にしている必要はありません。したがって、お父様と生計を別にしていたとしても、特例の適用には影響しません。
結論
以上の点を踏まえると、ご質問のケースでは、特定同族会社事業用宅地等の特例の適用を検討する余地があります。この特例が適用されれば、宅地の相続税評価額を80%減額できる可能性があります。ただし、この特例を適用するためには、相続税の申告期限まで宅地を保有し続ける必要があります。
ご回答ありがとうございました!
全て当てはまっているので、むしろ80%の減額が適用できそうです!
特定同族会社事業用宅地等の特例の適用要件として、以前は「相続人が、相続税の申告期限までにその法人の役員になっていること」という要件がありました。しかし、この役員要件は、令和3年度の税制改正で廃止されました。
こちらですが、
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4124.htm
国税庁のHPにはいまだに
「相続税の申告期限においてその法人の役員(法人税法第2条第15号に規定する役員(清算人を除きます。)をいいます。)であること。」
と記載されておりますが、単純に更新されていないということでしょうか?どの辺で廃止になったのか気になり。
また、今回は父から息子への相続でしたが、父の姉に相続される場合も同じ適用ができるのでしょうか?(私の方だといろいろと面倒なのでビルとか会社関係は近場の父の姉(私の叔母)にお願いしようと思っております)
よろしくお願いします。
貸付事業用宅地ですが、父は自分のビルを他の会社(父の会社とは関係のない会社)にも貸し付けてい他のですが、それでも難しいですかね?ちなみに、父がビルを建ててからは生計を共にしたこともないので同一生計ではないです。
父は80歳で亡くなったので、役員にならないと適用は難しいですかね・・・
本投稿は、2024年12月18日 16時46分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。