相続税について
母が離婚時に父から分与された不動産を相続し、売却した場合の税金についてお聞きします。。
(離婚時に不動産価格をいくらと計算して分与されたのかは不明です。)
税務署に問い合わせたところ、離婚時に分与をされたときの不動産時価価格と売却価格との利益分について税金が発生すると説明されました。母の離婚当時の不動産売却価格はどのように調べたらよいですか?
また、離婚時の分与価格を基準に計算することを公的に記載されている文面はどこかにありますか?
税理士の回答

論点は「①財産分与で取得した不動産を売却する場合の取得費はどう考えるか」「②その根拠文書はどこか」という点ですね。
1. 財産分与で取得した不動産の税務上の取扱い
・離婚に伴う財産分与で不動産を受け取った場合、その受け取った人(今回で言うとお母様)は 時価で取得したものとみなされます。
・したがって、売却したときは「取得費=財産分与時の時価」を基準に譲渡所得を計算します。
・譲渡所得計算式:
・売却価額 −(取得費+譲渡費用)= 譲渡所得
・この「取得費」に当たるのが 分与時の時価 です。
2. 分与時の不動産の時価の調べ方
・不動産鑑定評価書を離婚当時に取っていればベストですが、通常はありません。
・実務的には以下の資料から推計します:
・固定資産税評価額証明書(市区町村で当時の評価額を取得)
・*路線価図(国税庁HPで公表)**で当時の相続税評価額を算定
・不動産業者の「取引事例データベース」(レインズ等)で当時の売買相場を確認
・税務署も「客観的に合理性のある評価方法」を求めるので、固定資産税評価額や路線価を基準にするのが一般的です。
3. 根拠となる法令・通達
・財産分与の取扱いは「所得税基本通達38-6」に明記されています:
民法第768条《財産分与》の規定による財産の分与により取得した財産は、その取得した者がその分与を受けた時においてその時の価額により取得したこととなることに留意する。
・税務署の説明どおり「分与時の時価と売却額との差額」が課税対象になります。
✅ まとめ
・財産分与で取得した不動産は「分与時の時価」で取得したものとみなされる。
・時価の調査は「当時の固定資産税評価額証明」「路線価」「取引事例」などで推計する。
・所得税基本通達38-6 を参考にする。
丁寧な回答をありがとうございます。
計算をすると、譲渡所得はないに等しいい金額となります。この場合税務署には申告する必要がないと考えていいのでしょうか?念の為、譲渡所得がないことを申請したほうがいいですか?

・売却による利益(譲渡所得)がゼロに等しい、またはマイナスで、かつ 他の控除・特例を使わない場合には、申告を省略しても大きな問題になることはほとんどありません
・ただし税務署には「売却の登記情報」で売却事実は把握されます。後日「なぜ申告がないのか」と問い合わせが来る可能性があります。
・安心を優先するなら「譲渡申告書を提出してゼロと申告」するのもありかと思います。
大変よくわかりました。
素人にもわかりやすく説明いただきよく理解ができました。
感謝いたします。
本投稿は、2025年08月30日 00時37分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。