遺産分割と相続
相続開始前に遺産分割を相続人間で行うことは可能ですか?
また効力は有効ですか?
その理由を教えてください
税理士の回答
「相続」とは亡くなった方(被相続人)の財産(遺産)を承継することです。
したがって、亡くなる前には遺産は存在しませんし、相続人も存在しません。
このため、遺産分割は起こりえないことになります。
相続前に、相続人同士で正式な遺産分割を行うことはできません。
もし相続後のトラブルが心配であれば、法務局の自筆証書遺言書保管制度や公正証書遺言の利用をご検討ください。
また、遺言を作成しても、遺留分侵害や小規模宅地等の特例の適用をめぐって争いが生じる可能性があります。
不安がある場合は、遺言書作成の段階から弁護士へ相談されることをおすすめします。

三嶋政美
相続開始前に遺産分割を行うことはできず、その効力も無効です。なぜなら、民法上「相続」は被相続人の死亡によって初めて開始し、その時点で初めて相続人と相続財産が確定するからです。したがって、生前に相続人間で「この財産は誰が引き継ぐ」と合意しても、それは法律上の遺産分割協議としては成立しません。効力を持たせたい場合には、生前贈与や遺言による指定といった手続きを用いる必要があります。特に遺言書は被相続人の意思を法的に反映できる有効な手段であり、将来の紛争防止にもつながります。つまり、相続開始前の取り決めは法的には「話し合い」にすぎず、実効性はないのです。
本投稿は、2025年09月04日 16時09分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。