生命保険金が特別受益と認められた場合の保険の非課税枠の取り扱いについて。
資産の6割以上が相続人のうちの1人に偏って保険金として遺されたため、相続人全員(3人)で話し合い、特別受益という扱いにしようとしています。
一方、そうすると保険の非課税枠使えなくなるのでしょうか。
非課税枠を含めるとおそらく相続税の申告は不要なのですが、全く認められなくなると、基礎控除は越えそうなので、申告が必要になります。
また、例えば非課税枠は使いたいため、例えば3000万のうち1500万のみを特別受益とすることは可能でしょうか?
宜しくお願い致します。
税理士の回答

保険金を特別受益として遺産分割協議をすることと、相続税計算上の生命保険金の非課税は関係ありません。
したがって、保険金の非課税枠により、相続税の課税価格の合計額が、相続税の基礎控除以下であるなら、相続税の申告は不要になります。
基礎控除と保険の非課税枠に財産の全てが納まれば相続税の申告は不要ということですね。
特別受益とすることについては、その旨の税務署等への届け出等は必要ですか?
別に3人が合意していれば、分割協議書も必要ないですか?

基礎控除と保険の非課税枠に財産の全てが納まれば相続税の申告は不要ということですね。
→はい。ご相談者様のご理解のとおりです。
特別受益とすることについては、その旨の税務署等への届け出等は必要ですか?
→税務署に届けるものはありません。
別に3人が合意していれば、分割協議書も必要ないですか?
→遺産分割協議書はなくてもいいですが、あった方が金融機関の手続きがスムーズにできると思います。
余談ですが、法的には保険金は受取人のものですので、保険金を偏って受け取られた方から、他の相続人の方に金銭等を渡す場合、それは贈与になり、受取る側が年110万円以上の贈与を受けると、贈与税の申告・納税が必要です。
例えば、相続人Aが保険金が3,000万円を受取り、残っていた遺産が900万円であったとして、相続人全員の同意のもと、その保険金を特別受益と考えて、3人が平等になるように分けようとすると、900万円のみからでは平等にならないため、相続人Aは相続人Bと相続人Cに850万円ずつ渡したとします。
そうすると、税務的には相続人Bと相続人Cは相続人Aから850万円の贈与を受けたことになります。
850万円に対する贈与税は、171万円にもなります。
この点も踏まえて遺産分割協議をしていただければと思います。
国税庁HP: 贈与税の計算と税率(暦年課税)
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/zoyo/4408.htm
ありがとうございます。
私が言葉足らずだったので改めて確認させてください。
「特別受益として記載する=分割対象財産に含める」ことにはならなくて、
「特別受益を持ち戻す」と記載すれば、「保険金を分割対象財産に含めることができて、贈与税はかからないと思っていました。
贈与税か相続税かの話にもなるため、3人の合意のみでは足らず、ちゃんと分割協議書に「持ち戻す」旨を記載して残すことで、贈与税がかからないようにしておく必要があると。なので、贈与じゃないと明確にするために税務署への届けも必要なのかと思っておりました。
「特別受益」=「特別受益を持ち戻す」は同じ意味ですか?そして協議書にどう記載しようが贈与は贈与ということでしょうか?

特別受益のことは専門外ですので、また詳細は司法書士か弁護士にご相談いただければと思いますが、法的には特別受益を受けた方が法定相続分を超えて受けている場合、その超えた分までは、他の相続人に支払う必要はありません。
つまり、特別受益を持ち戻して遺産分割をしても、実際のところご相談者様以外の方が相続により取得できるのは、先程の例の金額で言うところの900万円なのです。
遺産分割協議書にどう記載しようが、ご相談者様から他の相続人の方に金銭等を渡せば、それは贈与扱いになります。
税負担をまったく出したくないのであれば、保険金以外の遺産をご相談者様以外の方が等分に分割するのがベターと考えます。
私は税理士資格しかないので、私にできることは税務面からのアドバイスのみになります。ご了承ください。
ありがとうございます。
特別受益を持ち戻して遺産分割する旨を分割協議書に記載したとしても、保険金から相続人に渡る分は、贈与税になるということですね。
分割財産に含めたからといって、保険金は受取人の固有の財産である事実は覆らないという理解でよろしいでしょうか。
何度も申し訳ありません。

特別受益を持ち戻して遺産分割する旨を分割協議書に記載したとしても、保険金から相続人に渡る分は、贈与税になるということですね。
分割財産に含めたからといって、保険金は受取人の固有の財産である事実は覆らないという理解でよろしいでしょうか。
→はい。ご相談者様のご理解のとおりです。
生前贈与等、過去に既に税金の取り扱いが決まっているものは、持ち戻しても贈与税から覆らないですが、遺贈については、持ち戻しが認められると贈与にはならなくなるとの見解が調べているとあったので、保険金も遺贈の一種と理解していましたが違うんですね。
ありがとうございました。

先程も申し上げましたが、税理士は特別受益についつは専門外となってしまうので、一度、司法書士か弁護士にご相談されるのがいいかと思います。
そもそも生命保険金は基本的には特別受益に該当するものではないですので、この辺りも専門家にどのようにするのが良いかご相談されてみてください。
税務上の取扱は先の回答のとおりです。
本投稿は、2021年07月23日 18時30分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。