相続時精算課税と認知症について
大変困っている友人を見かねてお伺いします。
現在、介護後の体調不良で友人は仕事ができず、生活費が底を尽きそうだと嘆いています。
かつて、自宅介護中に彼女の母親は、「生前に娘や孫に財産を譲りたいが…」と、時々つぶやいていたらしいのですが、その後認知症になり、何もわからなくなりました。
母親にはそれなりの財産があるようですが、それを今、娘一家の生活費に回すことはできないものだろうか、と、友人宅は家計切迫で悩んでいます。
被相続人が認知症だと後見人が必要と聞きますが、後見人をつければ相続時精算課税も活用できるのでしょうか?
税理士の回答
法定後見制度は、認知症となった方の財産を守るための制度です。
法定後見人は代理で相続時精算課税の対応ができないわけではありませんが、被後見人のその後の生活などを判断して(被後見人を中心に)行動しますので、どれだけの財産があるのかがポイントになってくると思われます。
法定後見人を選任するのは裁判所ですし、裁判所や成年後見人が「本人の財産を維持する上で問題ない」と認めた範囲でしか財産を処分することは出来ません。一旦法定後見人を選任すると、被後見人が死亡するまで続きます。また、他人が法定後見人である場合それなりの報酬が必要となります。
よって、相続税精算課税制度だけを目的で法定後見人を選任するのはあまりメリットがないように思われますので、他に生活費を工面してもらう方法がないかを探してみて、最終手段として利用するのがベストだと考えます。
大変丁寧にわかりやすくご回答いただき、感謝申し上げます。
このご回答をベースに、友人に他の方法を模索するよう進言したいと思います。
ありがとうございました。
本投稿は、2022年08月22日 23時21分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。