退職金と経営権について
約9年前の事ですが、前前の代表取締役が退任する際に高額の退職金を支給しました。支給後も現在まで「大株主」兼「相談役」として会社に残り、実質経営者として会社の決定権、経営権はすべて掌握されている状況です。年数が経過していますので、今から税務署に指摘される事は無いかと思いますが、ルール違反には変わりないと思います。もしこの問題が表に出た場合、何かペナルティ等の可能性はありますでしょうか。私としては、ルールに従って、経営権を移譲してもらいたいと考えております。是非アドバイスよろしくお願いいたします。
税理士の回答

税理士としては、会社の経営に係る人選云々については正直干渉し難い部分ですので、私見として述べさせて頂きます。
役員が分掌変更した場合の退職金(国税庁ホームページより引用)
分掌変更によって役員としての地位や職務の内容が激変して、実質的に退職したと同様の事情にある場合に退職金として支給したものは退職金として取り扱うことができます。
1 常勤役員が非常勤役員になったこと。
ただし、常勤していなくても代表権があったり、実質的にその法人の経営上主要な地位にある場合は除かれます。
2 取締役が監査役になったこと。
実質的にその法人の経営上主要な地位を占めている場合や大株主である場合は除かれます。
3 分掌変更の後の役員の給与がおおむね50パーセント以上減少したこと。
ただし、分掌変更の後においても、その法人の経営上主要な地位を占めていると認められる場合は除かれます。
「代表取締役が退任する際に高額の退職金を支給しました。支給後も現在まで「大株主」兼「相談役」として会社に残り、実質経営者として会社の決定権、経営権はすべて掌握されている状況」については、上記の通達の解釈によっては役員退職金の計上が否認されることになりますが、「年数が経過しています」つまり既に国税の更正期限を途過していますので、税務調査等で「税務署に指摘される事」「ペナルティ等の可能性」はないものと考えます。
ですが、「「大株主」兼「相談役」として会社に残り、実質経営者として会社の決定権、経営権はすべて掌握されている状況」では現在の代表取締役以下役員の社内社外における役割が不安定であり、組織としてあるいは商取引上の(責任の帰属等の)問題が生じかねないものと思われます。「大株主」である立場(将来的な相続等)も考え併せて、事業承継に向けた「経営権を移譲」する方向性を検討していくべきと感じます。
本投稿は、2023年08月29日 15時13分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。