入金日で計上してきた売上を実施日基準に直す場合の修正範囲と源泉税の年分
個人事業主です。これまで報酬を入金日で売上に計上してきました。
12月末請求で翌1月入金の報酬や、前払いで受け取り翌年に実施する回数制のセッションがあります。
実施日基準に直す場合、過去の年分もさかのぼって修正すべきでしょうか。
源泉徴収された報酬を前年へ移す場合、源泉税も前年分で申告するのでしょうか。
税理士の回答
山口勝己
税務署から特別指導がない限り、原則として過去の年分までさかのぼって修正申告等をする必要はありません。 今年の帳簿から正しい「実現主義(実施日基準)」へと修正し、今年の確定申告で「期首の売掛金」や「前受金」の調整を行う処理(変更初年度の調整)を行うのが一般的です。
また、売上を前年に移す場合の源泉徴収税額は、売上(収入)を計上したのと同じ年分の確定申告で清算(控除)するのがルールです。
税務上、正しい売上計上基準は「実施日基準(実現主義)」ですが、これまで継続して入金日基準で処理しており、かつ税務署から指導を受けていないのであれば、過去に遡って修正申告(更正の請求や修正申告)を行うケースは稀です。
過去分まで直すと、前々年、前年、今年のすべての税額が変わり、非常に煩雑な手続きになります。そのため、「今年の期首(1月1日)」を境目にして、今期から基準を是正する処理を行います。
具体的な是正の方法
• 12月請求・1月入金(売掛金):
前年末時点で入金日基準だったため、去年の売上には入っていません。これを今年の1月に入金されたからといって今年の売上にしてしまうと、本来の「実施日基準」に移行できません。移行初年度は、期首時点で「売掛金」として管理し、今年の売上とは二重計上にならないよう注意します。
• 前受金:
前年までに実施されず残っている未消化分は、今年の期首時点で「前受金(負債)」として処理し、今年セッションを提供した時点で今年の売上に振り替えます。
源泉徴収税額の帰属年について
源泉徴収税額は、「その対象となる報酬(売上)を計上した年」の確定申告で支払う所得税から控除するのが大原則です。入金された年や、源泉徴収票(支払調書)に記載された日付ではありません。
• 12月実施(売上)⇒ 翌1月入金(源泉徴収)の場合:
売上を「12月(当年)」に計上するのであれば、翌1月に引かれる予定の源泉徴収税額も「当年の確定申告」に含めて申告します。
• 前払いで入金(源泉徴収)⇒ 翌年実施(売上)の場合:
お金を先にもらって源泉徴収されていても、売上を「翌年」に計上するのであれば、その源泉徴収税額も「翌年の確定申告」で控除します。当年分では「前払税金(前払費用等)」の扱いとして資産計上しておきます。
そのため、もし仮に過去の売上を前年に動かすような修正を行う場合は、それに紐づく源泉税もセットで前年の申告へ移すことになります。
入金日基準から実施日基準へ変更する初年度は、「売上の二重計上」または「売上の計上漏れ」が起きやすくなります。
特に、基準を変更した年(今年)の確定申告書には、なぜ前年と売上の連動性が変わったのか(期首の債権・債務の動き)を明確に帳簿に残しておく必要があります。
本投稿は、2026年11月04日 06時58分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。







