相続した賃貸用不動産建物部分の減価償却方法について
今年亡くなった父から賃貸用区分マンションを相続しました。相続後の減価償却方法について自分なりに調べたのですが、大きく以下の2つのパターンで説明されているWebサイトがあるようなのですが、どの方法が適切なのかアドバイスいただけますでしょうか?(金額は単純化しています。)
(建物/被相続人2020年度確定申告書より)
取得日:1992年2月
取得価額:11,000,000
償却方法:旧定率
耐用年数:47年
償却率:0.048
未償却残高(期末残高):3,000,000
(被相続人側処理)
亡くなった4月までを引き続き旧定率法で償却
2021年期首簿価:3,000,000
1-4月分償却費:3,000,000 x 0.048 x (4/12) = 48,000
期末残高:3,000,000 - 48,000 = 2,952,000
この残高を引継いだ上で、4月からは、
パターン①
取得価額をベースに耐用年数47年として定額法で償却。
耐用年数:47年、定額法償却率:0.022
4-12月分償却費:11,000,000(取得価額)x 0.022 x (9/12) =181,500
期末残高:2,952,000 - 181,500 = 2,770,500
パターン②
相続時簿価をベースに残存耐用年数=耐用年数として定額法で償却。
残存耐用年数:47年 - 29年2ヶ月(経過月数) = 17年10ヶ月 =17年
定額法償却率:0.059
4-12月分償却費: 2,952,000(引継残高)x 0.059 x (9/12) = 130,626
令和3年期末残高:2,952,000 - 130,626 = 2,821,374
①②のどちらが適切なのか、あるいは他に適切な方法があるのか、アドバイスいただければ幸いです。
税理士の回答

パターン①が適切です。
相続により取得した場合、その建物の取得価額、取得日、耐用年数を被相続人から引き継ぐわけですが、償却方法は相続により取得した時の償却方法、つまり、定額法でおこないます。
このとき、耐用年数も被相続人から引き継ぎますので、未償却残高を相続人が中古で取得したように考えて残存耐用年数に応じた償却率を使用するのではなく、被相続人が取得した時の耐用年数に応じた償却率を使用します。
早速のご回答ありがとうございました。
パターン①の場合、相続前29年間定率法で償却が進んでおり、相続後にこの方法をとると残存耐用年数よりも早く償却が済んでしまうのですが、それは問題とはならないのでしょうか?
ご提示した事例では、今期末未償却残高2,770,500を、来年からは11,000,000(取得価額)x 0.022 = 242,000づつ償却していくことになり、残存耐用年数17年10か月に対し11年半あまりで償却してしまうことになります。追加のご質問となり恐縮ですがご教授いただければ幸いです。

はい。パターン①のように計算するよう法律で定められていますので、何の問題もございません。
お父様の建物取得が平成10年3月31日以前であり、当時認められていた旧定率法で償却し、相続後は定額法で償却すると、耐用年数よりはやく償却が終わってしまうため、違和感を感じられるのかと思いますが、大丈夫です。
国税庁HP: 相続により取得した減価償却資産の耐用年数
https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/shotoku/04/30.htm
国税庁HP: 平成19年4月1日以降に相続により減価償却資産を取得した場合
https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/shotoku/04/23.htm
ご丁寧かつ明確なご回答どうもありがとうございました。耐用年数よりも早期償却となっても問題ないとのこと、自身でWebで調べただけではなかなか明確な回答を得られませんでしたので、大変安心いたしました。重ねましてありがとうございました。

お役に立てて何よりです。
ベストアンサーをくださりありがとうございます。
本投稿は、2021年07月16日 18時22分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。