自宅兼事務所の減価償却について
平成21年に中古マンションを購入し、以来自宅兼事務所として住んできました。ローンは完済しておりますが、減価償却資産として計上できることを今更ながら知ることになり、遅ればせながら令和2年分の確定申告から計上したいと思っています。税務署に問い合わせした内容と、ネットで調べた情報で下記の計算となりました。
取得価額 15,000,000
償却率 0.025
耐用年数 40年
令和2年時点 残存価額 11,468,750
初年度償却費 156,250
毎年の定額償却費 375,000
この計算が合っているかどうかもあやしいのですが、
これにさらにどのような仕訳が必要かご教授願いたいです。
よろしくお願いいたします。
税理士の回答

安達幸男
減価償却の計算は、中古マンションの取得が、平成19年4月1日以降平成24年4月1日前の取得となっていますので、耐用年数が40年が正しければ、償却率0.025、初年度償却額(金額からすると5か月分のようです)及び毎年の定額償却費の計算は合っています(取得当時から居宅兼事務所ということですから、途中での転用ではないということを前提とします。)。令和2年時点(期首)の残存価額は、10年と5か月の償却だと思われますので、15,000,000円ー125ヶ月(10年+5か月)×31,250円(1か月当たりの償却額)=11,093,750円だと思われます(11,468,750円は令和元年期首の残存価格で、1年分の計算誤りではないかと思います。)。
ただし、耐用年数については、40年というものは「耐用年数表」にはありませんので、中古取得資産の耐用年数の計算をして出した数字かと思われます。おそらく鉄骨鉄筋コンクリート造でしょうから、法定耐用年数は47年となります。中古取得ですので、耐用年数=47年(法定耐用年数)ー経過年数×0.8により耐用年数を算出した数字がおそらく40年だったのかと推測されます(ご自身で計算式に当てはめて確認してください。)。40年の耐用年数が正しければ、毎期の償却額の金額の375,000円は正しいです。
さて、今後の必要な仕訳ですが、毎期の減価償却費375,000円を事業用(経費算入可)と家事用(経費算入不可)に按分する必要があります。按分は、床面積で按分(事務所部分の償却費は、毎期の減価償却費×事務所用の床面積÷マンション総床面積)すればよいでしょう。仕訳としては、貸方・減価償却費〇〇(経費算入分)と事業主貸〇〇(家事費分)、借方・建物〇〇(年間分)となります。
ちなみに、そのほかの必要経費として認められるのは、電気代、マンション借入金の利息もありますので、同様に面積按分して経費に算入できます。
なお、申告を過去に遡って行うのは、過去5年分(平成29年分から令和3年分まで)可能(申告をしていなければ確定申告書を提出する、提出していれば更正の請求という手続になります。)ですので、5年分行うのでしたら一度資料を持って税務署に相談してみてください。ただし、いずれの年も、収入と経費の計算が必要なので、過去の古い資料(領収証書など)がないようでしたら、令和2年分からしかできないことになるかもしれません。
安達先生、詳しく教えて下さりありがとうございます。
過去5年分遡るつもりはなく、今回(令和3年分確定申告)から計上する予定です。
按分率は事業40%、家事60%としています。
さらに2点質問させて頂きたいのですが、
①取得価額1500万円としていますが、仮の数字でして、購入時の契約書に土地と建物の
それぞれの金額が明記されておりません。取得価額はどのように求めればよいでしょうか?
②仮の1500万円の計算上で、実際に減価償却資産として入力してみました。
前年末未償却残高の欄に11,093,750と入れましたが、前回は減価償却資産として
計上しておりませんので、もちろん前回の期末残高はゼロです。そこでいきなり
期首残高としてこの数字が登場していても問題ないのでしょうか?
以上2点大変お手数ですが、どうぞよろしくお願いいたします

安達幸男
①については、マンションの土地と建物の合計金額を土地と建物に按分する方法については、合理的な計算方法で按分すればよいことになっています。具体的な按分の方法としては、①市役所の土地及び建物の固定資産税評価額で1,500万円を按分して割付計算する方法や、②建物の譲渡については消費税がかかることから、売買契約書に記載の消費税額を0.05(平成21年当時は消費税5%のため)で割り戻して建物価額を算定する方法(土地の価額は差額で求めます。)などがあります。
②については、建物の価値は、経過年数によって価値が減っていくことから、減価償却費は、この価値減少分を毎期費用化する作業になります。仮に減価償却費を計上していなかったとしても、建物としての価値は減っていきますので、期末の未償却残高は、当然年々減っていきます。あなたの場合は、マンション取得時から事業の用に供していましたので、通常であれば取得時から減価償却費の計上をすべきところ、減価償却費を経費として計上しなかっただけですので、今回期首の未償却残高がいきなり11,093,750円と計上されても問題ありません。減価償却というのは、建物価額(正確には取得価額ー1円)を使用期間(耐用年数)で毎期の費用として配分する手続ですので、今回のケースは既に12年近く経っていますので、残りの期間(40年ー12年)で均等に費用配分することからいっても、問題ありません。
安達先生
ご回答ありがとうございます。大変よくわかりました。
先生から教えていただいた全てを仕訳帳に反映すべく、試行錯誤しておりますが
再度壁にぶつかってしまいました。
1500万円を建物価額とし、事業40%家事60%で計上
借方 貸方
建物減価償却費(事業使用分) 減価償却費150,000 建物150,000
建物減価償却費(家事使用分) 事業主貸225,000 建物225,000
上記の仕訳が決算仕訳として自動入力されたのですが、青色申告決算書の貸借対照表の
資産の部 建物の期末残高が△375,000 とマイナスになってしまいます。
これは購入したときの仕訳がされていないことによる、エラーでしょうか?
購入したのは今年度ではないですが、1500万円を事業主借で入力してみても、期末残高が合わないです。(=未償却残高にならない)
どうすればよろしいでしょうか?何度もお手数をおかけしますが、なにとぞよろしくお願いいたします。
本投稿は、2022年01月19日 17時10分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。