旅館運営権の譲渡の計上について
民泊の旅館運営をしている法人の記帳をしているのですが。
今期、一部旅館の運営権を他の企業に事業譲渡をしています。
事業譲渡した旅館のリフォーム代などを附属設備として資産登録して償却していたため、償却できなかった部分を差引いて事業譲渡代金の差額分を特別利益として計上しました。
今日、法人の方から事業譲渡を売上として計上することは可能でしょうかと連絡があったのですが、売上として計上は可能なのでしょうか。
私の中では、事業譲渡なので売上として計上は不適切だとの認識です。
税理士の回答
事業譲渡益は特別利益として計上するのが、適切な会計処理かと思います。
結論から申し上げますと、ご認識の通り、事業譲渡の対価を「売上高」として計上することは不適切であり、現在行われている「帳簿価額を差し引いた差額を特別利益(事業譲渡益など)として計上する」という処理が正解かと存じます。
法人様へご説明する際のポイントをまとめてみましたの参考になる部分がございましたら参考にしてみて下さい。
1. 売上計上が不適切な理由
「売上高」は、その法人の主たる継続的な営業活動(本件であれば宿泊サービスの提供など)から生じる収益を指します。一部旅館の運営権譲渡は臨時的・突発的な取引であるため、営業収益ではなく「特別利益」に計上するのが企業会計原則上の正しいルールとなります。
2. 総額ではなく「純額(差額)」で計上する理由
事業譲渡は資産・負債の売却取引です。そのため、譲渡対価の総額を収益、譲渡資産の帳簿価額を費用として両建てで計上するのではなく、対価から譲渡対象資産(未償却のリフォーム代・附属設備等)の帳簿価額を控除した「純額(譲渡益)」で表示する必要があります。
3. 法人様へのアドバイス・留意点
法人様が売上に計上したい意図として、「見かけの売上規模(トップライン)を大きくして、金融機関の見栄えを良くしたい」というお考えがあるかもしれません。しかし、本来特別利益にすべきものを売上に含めると、金融機関からは「決算書を意図的に歪めている(実態としての営業力がない)」とネガティブに評価されるリスクが高くなります。正しい処理を行った上で、「今回は事業譲渡による資金流入があった」と別途説明する方が確実に信用に繋がります。
*なお、会計上の売上高にはなりませんが、消費税の計算上は注意が必要です。譲渡対価のうち、課税資産(設備や営業権・のれんなど)の譲渡に相当する部分は、消費税法上の「課税売上」に該当しますので、申告時の課税売上割合の計算等にはご留意ください。
回答は以上となります。
ご参考になりましたら幸いです。
本投稿は、2026年05月12日 19時07分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。







