自治会決算書で予備費を流用した場合の表記方法について
この場合、予備費の行を二段書きで流用額を△で表記する方式を採用していました。しかし、総会の時に『予備費で決算科目を立てるべき』との指摘を受けました。わたしはそのような方法はないと教わってきたのでスッキリしません。明快なご教示をよろしくお願いします。
①指摘の処理方法もあるとすれば、どのようなケースの場合に採用すれば適当なのでしょうか。
②流用額を二段書きで各方式は行政関係で、指摘の方法は民間企業が採用しているのかなとも思っています。
税理士の回答

【前提】
・予備費は「不測の支出に対応するための予算枠」であり、本来は用途が未定の状態で予算化されています。
・決算時には、流用先の実際の支出項目に計上するのが原則です。
⸻
①【指摘のように「予備費で決算科目を立てる」方法はあるか?】
→ 原則として推奨されません。
・予備費は「支出が発生した時点で、適切な支出科目に振り替えて処理する」のが適切です。
・したがって、決算書においても「実際に支出した科目に計上」し、その原資が予備費だったことを備考や注記、補足で記載するのが通例です。
・「予備費」として決算科目を立てるのは、実際の使途を明示しない処理になってしまうため、透明性に欠けるという問題があります。
→ よって、総会での指摘「決算科目を予備費として立てるべき」は、会計原則的には誤りです。
⸻
②【流用額を二段書きで△表示する方式は行政か民間か?】
→ ご認識の通り、自治体や公共団体会計で多く用いられる方式です。
・予備費の支出を、元の予算行(予備費)に「支出額(△〇〇円)」として二段表記し、
同時に流用先の実支出項目に「予備費からの充当」として加算する方法は、
地方公共団体会計や自治会・町内会等の地域団体会計で広く採用されています。
・これは予算と決算の整合性(予備費の利用履歴)を明示的に残すためです。
・一方、民間企業ではそもそも「予備費」という科目を持たないため、全く異なる運用となります。
⸻
【結論】
・予備費を実際に使用した場合は、「支出先の正しい科目に計上」し、「予備費から流用した旨を備考で示す」のが原則
・決算書で予備費を残したまま支出を記載するのは不適切
・二段書きで△表記する方式は、自治体や自治会などの公共系会計でよく用いられる方法
・民間企業会計には予備費の概念自体が通常存在しないため、表記ルールも異なる
明確な回答をいただきありがとうございました。
今まで調べた情報の中で一番詳しい内容でスッキリしました。
今後の自治会事務を進める上で大きな自信になります。

とんでもないです。お役に立てて何よりです。
本投稿は、2025年05月14日 03時28分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。