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果樹育成中資産からの売上の扱いについて

個人でぶどう農園を営んでおります。
令和5年に定植したぶどうを育成仮勘定として資産計上しておりますが、
令和6年までの累計育成費用23万円、令和7年の育成費用6万円で、令和7年に初めて果実を収穫し育成中資産からの果実売上37万円でした。
樹の状態としてはまだ成木になっていない状態です。
この場合、令和7年の育成仮勘定・育成費振替高はどのように仕訳すれば良いのでしょうか。また果実売上の扱いはどのようにしたら良いのでしょうか。

税理士の回答

 通達がります。通達(所得税基本通達49-12)は、まだ成熟していない植物(果樹や畑作物など)から収穫があった場合の「減価償却資産」としての「取得価額」の計算方法を定めたもので、収穫物の市場価格を差し引いて、植物本体の資産価値(取得価額)を計算し直すルールを説明しています。簡単に言えば、「稼いだ分(収穫物)」は、その植物自体の価値から引いて計上する」という会計ルールです。
具体的なケース
収穫物があった場合(1):
内容: 成熟前の植物から商品として収穫物(例:まだ若い果実)を収穫した。
計算方法: その収穫物の市場価格(価額)を、植物本体の取得価額から差し引く(控除する)。
理由: 収穫物は植物本体から生じたものなので、植物の「価値」の一部が収穫物という「現金(売上)」に変わったと考え、植物の価値を調整する。
まとめると
「まだ青いリンゴの木」から「未熟なリンゴ」を収穫したら、そのリンゴの売価分だけ木の価値を減らし、災害で木が傷ついたら、直すためのお金(資本的支出以外)は木の価値に足さず、そのまま費用処理(または別の科目で処理)する、という、農業特有の資産評価のルールです
 あなたの場合に当てはめると以下の通りかと思われます。
 令和7年のぶどうの仕訳および売上の扱いについては、未成木(育成中)の状態を維持しつつ、得られた果実売上を「育成仮勘定」の取得価額から差し引く(控除する)処理が一般的です。
具体的には以下の通りです。
1. 令和7年の育成費用の仕訳
 期中に支払った肥料費や労務費などは、一旦「肥料費」などの経費科目で処理し、決算時にその年の育成費用分(6万円)を「育成仮勘定」へ振り替えます。
決算時の仕訳:
(借方)育成仮勘定 60,000円 /(貸方)育成費振替高 60,000円
2. 果実売上(37万円)の扱いと仕訳
 未成木の状態で収穫された果実の売上は、通常の「売上」として利益に計上するのではなく、育成仮勘定(資産の取得価額)の減算項目として処理します。これにより、将来成木になった際の減価償却の基礎となる金額(取得価額)が抑えられます。
果実販売時の仕訳(例:現金で販売した場合):
(借方)現金預金 370,000円 /(貸方)育成仮勘定 370,000円
※会計ソフト等で「売上」として計上している場合は、決算時に売上から育成仮勘定へ振り替える調整が必要です。
3. 令和7年末時点の育成仮勘定の残高
 ご提示の数値を整理すると、令和7年末の育成仮勘定の残高は以下のようになります。
 項目            金額
令和6年までの累計(期首残高) 230,000円
令和7年の育成費用(加算) + 60,000円
令和7年の果実売上(減算) - 370,000円
令和7年末の育成仮勘定残高 - 80,000円
【注意点】
 残高がマイナスになる場合: 計算上、取得価額がマイナスになる場合は、そのマイナス分を「雑収入」等として収益計上し、資産残高を0円(または備忘価額の1円)とする処理が検討されます。
成木への振替: 樹が成木となり本格的な収穫期に入った(「事業の用に供した」)時点で、育成仮勘定から「生物(果樹)」などの固定資産科目へ振り替え、減価償却を開始します。

分かりやすい回答ありがとうございます。

>残高がマイナスになる場合: 計算上、取得価額がマイナスになる場合は、そのマイナス分を「雑収入」等として収益計上し、資産残高を0円(または備忘価額の1円)とする処理が検討されます。

上記について、マイナス分を売上高ではなく雑収入とするのには何か理由があるのでしょうか。

 結局未成熟の樹木からの収入は、正規な収入では無いとの考えなのだと思いますよ。正規の収入であれば、成熟した樹木になりますから。
 ただし、収入も農業の雑収入も収入であることには変わりないですが。。

本投稿は、2025年12月25日 21時22分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。

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