配当控除額
一般の配当所得には配当控除額が10%あると思うのですが、私募証券だけはなぜ5%なのでしょうか。どういう意味があるのですか?
税理士の回答

丸尾和之
配当控除は、出資先が課税された法人税と、出資者に課せられる所得税の二重課税を防止するために設けられた制度です。
外国法人から受ける配当が配当控除対象外なのは、日本の法人税が課税されていないので、二重課税の調整が不要だからです。
ここで、証券投資信託の場合、出資先が国内株式だけでなく、外国株式のパターンもあります。
よって、国内株式等運用割合に応じて、二重課税の調整を少なくするよう、配当控除を減らす措置が取られています。
①下記以外の証券投資信託(運用割合50%以上):5%
②③以外の外貨建等証券投資信託(運用割合25%以上50%未満):2.5%
③特定外貨建等証券投資信託(運用割合25%未満):適用無し

佐藤和樹
1. 配当控除の趣旨
配当控除は「法人税と所得税の二重課税を調整する制度」です。
• 会社が利益を出す → 法人税を支払う
• その残りから配当 → 受け取る個人が所得税を支払う
この二重課税を緩和するため、法人税率に見合う一定割合を所得税から控除する仕組みです。
2. 一般株式配当の場合(上場株式など)
• 配当を出している会社は通常の法人税(実効税率 30%前後)を負担済み。
• そのため個人が配当を受け取る際には 配当控除率 10%(地方税と合わせて最大15%) が認められています。
→ 法人税と個人課税をトータルでみて、二重課税を一定程度調整できる水準。
3. 私募証券(私募投資信託など)の場合
• 私募投資信託は「投資信託」としての仕組みを持ち、基本的に信託財産に課税は行われません。
• 信託財産の中で生じた株式配当や利子は「益金不算入」等で軽課税または非課税とされており、法人税負担が軽い(またはない)構造になっています。
• したがって、通常の配当のように「すでに法人税がかかっているから、その分を配当控除で調整」という事情が小さい。
• そのため、個人が配当を受け取るときの配当控除は 5%に限定されているわけです。
本投稿は、2025年08月12日 16時45分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。