日米租税条約の適用可否と今後必要な手続きについて
9月より渡米しており、日米租税条約(Tax Treaty Exemption #20)に基づき米国での所得にかかる税を控除されていますが、色々情報を集めた結果、私は控除資格者でないと思い始めました。
登録情報を修正しようかと思うのですが、焦って情報修正をする前に専門知識をお持ちの方に確認し、今から取るべき正しいアクションの指示を仰ぎたいと思い相談しました。
以下に収入等の情報を記載いたします。
【収入の状況】
1-8月:日本で給与所得を受給
9-12月:アメリカで教育機関のresearcherとして給与所得を受給(日本からの収入は無し)
【手続き等の状況】
9月上旬に住民票を抜いて渡米しました。
ビザはJ-1ビザで9月より1年間(今後上司と相談して延長する可能性がありますが現時点では1年)です。
渡米後、アメリカのオンライン税務システムGLACIERでTax treaty exemptを申告し受理されており、現在の収入からは所得税が引かれていません(この申請時、Permanent residence addressは本籍地のことと理解して入力していましたが、これは誤りだったのではと思い始めました)。
渡米直前に、日本での勤務機関から「渡米後に日本からの給与収入を得る予定がないのならば退職月に年末調整と源泉徴収票の発行処理を行います」との連絡があり、処理を依頼済みです。
日本の住民票を抜いているので「日本の税法上居住者」に該当せず、したがって日米租税条約の適用対象者から外れている気がしていて、
(1) 現在適用されている控除を停止する等のアクションが必要か
(2) アクションが必要な場合、何をするべきか
(3) 日本およびアメリカでの確定申告を行う場合に注意すべきことはあるか
について、何らかの情報をいただけると大変助かります。
色々調べてはいるのですが、日米どちらについても事務手続きが不得意なもので、どのようなアドバイスでもありがたいです。どうぞよろしくお願いいたします。
税理士の回答

安島秀樹
考えてみました。いま租税条約の20条に基づいて、アメリカで免税の手続きをしていて、アメリカでの所得から税金が引かれていない状態だと思います。ただ20条の免税には前提があって、日本の居住者というのがあるようです。日本の居住者ならアメリカでの所得も課税されます。
日本の税法で、F1とかJ1でアメリカに長期にいった人が日本の居住者になるのか非居住者になるのかといったら、一般的には、長期でいくなら非居住者と考える人が多いと思います。
アメリカではF1の人は2年間、J1の人は5年間非居住者だそうです。
だから日本の税法でもF1の人は2年間、J1の人は5年間、日本でも居住者と考えることもできます。このあたりよく分かりません。
ただ租税条約の趣旨は、二重課税はしないということなので、どちらでも税金を払わないというのはないと思います。

安島先生が記載されている通り、日米租税条約第20条の適用を受け、米国での所得が非課税となるためには、日本の居住者であることが必要ですので、もし相談者様が公務員でない限り、日米租税条約第20条の適用を受けられないことから、米国の教育機関から支給される給与は米国において非課税とはならず、米国において申告を行うことが必要になると考えます。
Jビザ所有者は、米国税務上、非居住者(Nonresident Alien)に該当しますので、Form 1040NRを使って、米国において申告を行う必要があります。申告納税期限は翌年4月15日で、申告書の提出は6ヵ月延長可能です。しかし、納期限は延長されませんので、納税は4月15日までに行う必要があります。
また州によっては州税の申告納付が必要となりますので、ご注意ください。
米国の課税に関する詳細は、IRSが発行している以下のPublication 519をご覧頂ければと思いますが、実務的なところは現地の会計士・税理士等とご相談頂くのが宜しいかと思います。
https://www.irs.gov/pub/irs-pdf/p519.pdf
なお、相談者様が日本において給与以外の所得が無い場合、日本の課税は出国時の出国時年末調整で済んでおりますので、米国で受け取る教育機関からの給与について、日本においてあらためて確定申告する必要はありません。
安島先生、藤田先生、情報をくださりありがとうございます。
米国からの給与は非課税にならず、米国で申請・支払いをする必要があるということですね。日本国内での給与については確定申告不要とのことで、安心しました。
情報の修正と支払額については、所属機関の税務担当の方や、現地会計士の方に相談してみます。
お時間をいただきありがとうございました。
本投稿は、2019年11月05日 07時18分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。