NPO法人の債務免除益
約10年前からNPO法人を運営しております(認定NPO法人ではない)。
設立直後に関連する(役員が重複する)社団法人から400万の借入を行いました。
途中役員個人からも金額はまちまちですが計400万くらいの借り入れがあります。
事業は継続中ですが、毎年人件費を抑えて、最近は何とか事業継続出来ている状態でほぼ単年収支が0に近いです。年間600万円程度の社会貢献型の販売事業。ちなみに白色申告です(青色にしないといけないと思ってます)。社会的に意義があるので事業は継続の意向です。
社団法人から貸付金が過去に全く返済できない(個人借り入れ分も)運営状況は明らかなので、債権放棄に応じてもいいと言われています。
このような状況で、現状を税務署に伝えた場合でも、債権放棄してもらった場合、当然ながら欠損金で相殺は出来ないので、400万が債務免除益とみなされてしまうのでしょうか?それとも税務署判断で、NPO法人であることや返済や支払能力がないということで、収益にあたらないと判断されることもあるのでしょうか?
もしくは青色申告を開始して、数-10年後に欠損金で相殺処理するような方法がいいのかわかりません。仮に課税ということになると、すべての税金はおよそどのくらいの額になるのでしょうか?
どうぞご指導宜しくお願い致します。
税理士の回答
NPO法人が寄付金(補助金や助成金、見返り・対価性のない会費も含む)を受け取った場合は、原則として課税されません。
しかし、ご質問の貸付金が収益事業に使用され、その後、債務免除されたのなら、収益事業の法人税申告に当たっては、収入として計算し、1年間の収支が利益になれば、白色申告であれば、欠損金の繰り越し控除の適用はありませんから、法人税が課税されると考えます。
収益事業が、今後も赤字が予想されるのであれば、その都度、債権放棄をされ赤字を補填しても良いと考えます。

期限切れ欠損金もありますので、青色申告で、欠損金の繰越を行った方がよいと思います。
非収益事業の債務免除とすれば、収益に計上しないこともできると思いますので、税務署にご確認ください。
富樫先生
早速お返事いただき感謝申し上げます。
社団法人からの借り入れは設立年のもので、収益事業に充てたというよりは準備資金的な要素が強いです。その後の個人からの借入金は、複数年度にまたがっており、法人の運営上の赤字補てんや収益事業の赤字補てんです。税務署が、非収益事業的な借り入れと判断してくれるかどうかということですね。確認してみます。どうもありがとうございました。
山中先生
早速お返事いただき感謝申し上げます。
今回債権放棄の対象になる社団法人からの借入金400は、設立年のNPOの体制を整えるために必要なもので、役員報酬に充てたとか収益事業の仕入れや設備投資に充てたというものではないので、そこを何とか理解してもらえないものなのか相談してみます。
残り役員個人からの借り入れは、ご指摘の通り、収益事業にかかるものもありますのでそのように検討したいと思います。どうもありがとうございました。

債権放棄される側の損金算入が認められる要件にもご留意頂くのが宜しいのかと存じます。
債務超過の状態では無いので、原則として、債権放棄しても先方では損金算入できません。
損金(費用)にならないため、寄付金として受け入れてはいかがでしょうか?
先方に顧問税理士がいれば、寄付金の損金算入枠は幾らあり、といった先方の負担を軽減できる選択肢も取りえます。
ただ、これらが債務免除いただく立場のものが言うのは立場的に難しいのかもしれません。心情的なものに配慮しながら、双方にとって負担感のより少ない第三の道を検討されても宜しいのかとは存じます。
相田先生
有益なお返事どうもありがとうございます。
おっしゃる通りの処理がベストかなと思います。
10年前に初期支援の一環で借入金として借りたものを、10年後に返済の目途が立たないので債権放棄というより寄付金扱いにしますということで双方合意した場合、寄付金として処理出来るものなのでしょうか?仮に出来るとして寄付金扱いと税務署に伝えたら、NPO法人の場合この400万は課税の対象ではなくなるのでしょうか?
ご助言いただければ幸いです。

先方がどう捉えるか、というのが一番かと存じます。
厚かましい、というのが通常の反応でしょうから。
如何に、先方に察して頂けるか、交渉手腕が問われることになるでしょうか。
まずは、先方がその選択肢に気づき、実行されるか、これが最大のハードルで、後の税務上のリスクは、先方の税理士が判断するでしょう。
寄付にした上で、申告時、自主的に自己否認されるのも一案ですし、それはそれで先方判断。こちらのコントロールできるものではありませんので。
厚かましくなく、誠意を示すものとして、知恵を出したと捉えていただけると良いですね。
なお、税務署には説明すべきではありません。税務上のリスクがあるものですからこれらは先方の会社の税理士の判断にゆだねるべきことで、こちらとしては、NPOの税務申告上、当方の顧問税理士の判断に従って申告すれば良いのですから。
寄付金に該当しないかもしれない、といった視点を敢えて税務署に持たせる必要はありません。先方に徒な税務上のリスクを負わせることになりますし、税務調査の引き金になったら、それはそれで面倒ですし。
あくまで、それぞれが税務上の判断を自主的にすれば宜しいのかと存じます。
相田先生
ご丁寧なアドバイスどうもありがとうございます。
寄付金はうちの法人の場合は非課税だと思いますが、まずは収益事業に投じた借入金ではないので、それでも課税対象になるかならないかその点だけを税務署に確認した上で、その次の選択肢として検討したいと思います。

税務署で確認して、適切なアドバイスを受けられた方がよいと思います。
富樫先生
どうもありがとうございます。
どこが焦点になるのか整理出来ましたので、助かりました!
後日確認してきます。
本投稿は、2018年07月20日 03時19分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。