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法定地上権が成立した土地の地代設定や贈与認定について

法定地上権が成立した土地建物があり、「法人が地主、法人と無関係の個人が地上権者で、借地権割合が55%」のケースについての質問です。

質問1:相当の地代とは「土地の更地価格×(1 - 0.55)×6%程度=地代年額」との理解でよろしいでしょうか。

質問2:法人と地上権者が全く無関係の場合でも、相当地代の授受がなければ(相当地代に満たなければ)、権利金や地代差額が贈与等に認定されるのでしょうか。

質問3:もし地代確定の調停や訴訟を提起した場合は、この相当地代に近い金額で和解案や判決が出るのでしょうか。それとも、上記式で算出した相当地代とはかけ離れた金額で和解や判決になることもあり得て、その場合は調停や判決に従っている限り、権利金の贈与や地代差額の贈与等が認定されることはないのでしょうか。

以上、よろしくお願い致します。

税理士の回答

借地権の関係について、若干誤解があるので以下の通り整理しておきます。

他人の土地の上に建物を建てた場合、借地権が発生するケースがあります。この場合、「通常の地代」のほかに「権利金」をやり取りする場合があります。

ます、「権利金」ですが、借地契約の締結時に、一時金として借主から貸主へ支払うお金です。礼金のようなものと考えられています。
権利金の額は、土地の時価×借地権割合で計算します。

借主はこの土地を利用するにあたり、底地の部分に対応する地代を貸主に支払います。この地代が「通常の地代」です。
通常の地代は、土地の価額×(1-借地権割合)×6%で計算します。

一般的には上記のように、「権利金」と「通常の地代」を支払うのですが、例えば同族関係者間(親族や親族が経営する会社との取引等、第三者間でない場合)での取引等の場合、権利金のやりとりをしないケースもあります。

その場合、借主は権利金を支払っていないため、権利金に対応する部分を含んだ、通常の地代より高い地代を支払わなくてはなりません。
つまり、底地部分に対してだけでなく、土地全体に対して地代を支払う必要があります。このときの地代が、「相当の地代」です。
「相当の地代」は、土地の価額×6%で計算します。

一般的には、借地権の設定に伴い権利金を支払う慣行がある地域であれば、第3社間取引では、権利金の支払いは必要です。
もし、そのような地域で権利金を支払うことなく借地権を取得した場合、権利金にあたる金額が借地人に贈与されたとみなされ、権利金の認定課税が行われます。

以上をまとめると次のようになります。
①借地権の設定がある地域は権利金収受の慣行がある。
②権利金を収受する慣行があれば、権利金の収受が必要です。
 なければ、権利金の認定課税が行われます。
③②に関して、権利金の収受がない場合でも、相当地代を収受していれば、権利金の認定課税は免れます。

土師弘之 先生

大変ご丁寧なご回答ありがとうございます。

理解が足りず「通常の地代」と「相当の地代」の用語を混同して使用していました。

改めて質問を整理致しますと、
今回のケースは、法定地上権が成立した土地建物で、不動産鑑定士による評価では借地権割合が55%、土地の評価はこの借地権割合分が減価されていますので、「権利金の授受の慣行があり、その授受が行われた」ものと見なすことができると思います。

その上で、

質問1改 (省略)
→ 通常の地代は「土地の更地価格×(1 - 0.55)×6%程度=地代年額」と理解致しました。


質問2改:法人と地上権者(借主)が全く無関係の場合において、「通常の地代」の授受がなければ(もしくは「通常の地代」に満たなければ)、地代の差額が贈与等に認定されるのでしょうか。
ネット上では、「役員の場合は給与、第3者の場合は贈与として扱われる」との記載も見受けられます。

質問3改:もし地代確定の調停や訴訟を提起した場合は、一般にこの「通常の地代」に近い金額で和解案や判決が出るのでしょうか。それとも、上記式で算出した「通常の地代」とはかけ離れた金額で和解や判決になることもあり得て、その場合でも調停や判決に従っている限り、地代差額に対し贈与等が認定されることはないのでしょうか。

以上、改めてよろしくお願い致します。

質問2について、
地主である法人が本来もらうべき地代をもらっていなければ、借地権者に地代相当額を寄付したこととなるため、借地権者が第3者であれば寄付金、役員であれば給与として処理されます。

質問3について、
適正な地代・権利金を収受していなければ、裁判では払う払わないの問題だけが決着します。その結果は、通常収受すべき金額で収まるはずですから、その結果を度外視して贈与の問題が生じることはないと思われます。

土師弘之 先生

明快なご回答ありがとうございました。
疑問点が全てクリアーになりました。

本投稿は、2020年09月17日 04時59分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。

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