仮想通貨を相続した後の売却に対する所得税・住民税について
例えば所有者死亡時の時価総額が10億円となる仮想通貨を遺族が相続した場合、相続税率55%を乗じて7200万円を控除すると、相続税額が4億7800万円になります(取得費はここではゼロとし、相続人の人数に応じた控除額も他の資産にあてるものとしてゼロと考えます)。
この相続税を支払うために、遺族が仮想通貨を全額売却して10億円を得た後、相続税を支払えば手元に5億2200万円が残ります。
お尋ねしたいのは、この場合の売却益に対する所得税・住民税です。譲渡所得ではなく雑所得になるということですので、「相続税を取得費とする特例」は使えないだろうと思います。すると、売却益=売却額10億円となり、その所得税は税率45%を乗じて479万6千円を控除した4億4520万4千円。さらに住民税が10%で1億円。
すなわち、相続税・所得税・住民税の計は10億2320万4千円となってしまいます。
手元に全く残らないばかりか、2320万円以上の赤字です。
復興税などを考えるとさらに赤字幅が広がります。
細かい計算に間違いがあるかもしれませんが、基本的な考え方についてはこれであっているでしょうか? あっているとすると恐ろしい話だと思うのですが。
税理士の回答
相続財産として10億円が相続税の課税対象になります。
その仮想通貨を売買するときは、被相続人の取得時、取得価額を引き継ぎますので、雑所得は、10円―10億円=0円になります。
ご回答ありがとうございました。
ただすみません、「取得価格を引き継ぎますので」のところ、
根拠法令等、詳しく教えていただけますか?
仮想通貨の場合、例えば100万円で取得したものが10億円になることが普通にありえますが、この場合の取得価格とは100万円ではないのでしょうか。
わかりました。ありがとうございます。
すると最初に投稿した通り、「相続税」と「相続後の売却による所得税」との合計が、「相続した額」を上回ることがある(トータルでマイナスになることがある)、という理解でよろしいのですね? 極端な話、黎明期に取得費が1円にも満たないビットコインを所有したことで「億り人」になっている人もいるわけですから。
しかし税制の理念上、このような借金でない資産相続で、差し引きがマイナスになるような二重課税などありえないとやはり思います。どなたかに上記の考え方が間違っていると否定していただきたいです。
相続税は、法定相続分で、相続したものとみなして税金計算します。また、基礎控除額(3千万円+6百万円×法定相続人)や配偶者の税額軽減等もありまので、現況によっては、税額が下がることもあります。
しかし、法定相続人が、配偶者以外で1人の場合、基本的には、ご質問者のお考えに近い金額の税金になります。
釈迦に説法ですが、金額が知りたいのではなく、相続額が多くなればなるほどマイナスが増えることを確かめたかったのです。相続額が増えれば増えるほど「税負担が増える」のは当然として、ある金額までは税引き後に残額げでますが。ある金額を超えると残額がマイナスに転じます。以降は相続額が増えるほどマイナスになるのです。
「夫が1億円分の仮想通貨を遺してくれて、税金は引かれたけど手元に残った」という人と、
「夫が10億円分の仮想通貨を遺したが、すべて税金として没収され、さらに追加で2300万も税金を支払わなければならないと税理士さんに言われた。支払えないので、泣く泣く相続放棄した。その結果、自宅やその他の僅かながらの資産もすべて手放すことになった」
という人が出てきます。
相続額がさらに莫大であれば、税理士さんもご指摘の相続人数による基礎控除や配偶者控除など、ほとんど意味を成しません。
しつこいですが最後に今一度整理します。
「夫が多額の仮想通貨を遺した場合、妻はその額を上回る税金を納めなければならないことがある。相続額が多くなればなるほど妻の納税額も膨らみ、支払えなければ自宅その他一切の資産もろとも相続放棄するほかない。その可能性は、夫が遺した仮想通貨の時価総額が1億円であるよりは10億円であるときのほうが高く、10億円であるよりは100億円のときのほうがはるかに高い」。
配偶者が相続する場合
法定相続分まで相続した場合、その割合の相続税は軽減されます。
相続人 妻だけ 法定相続分 1
妻・子 1/2
妻・父母 2/3
妻・兄弟姉妹 3/4
法定相続人が、配偶者だけの場合、全額を相続すれば、相続税は、0円です。
確かに一次相続で妻が全額を相続することは、有効な対策のひとつになりそうです。売却すれば資産は半減するでしょうが、マイナスにはなりませんもんね。ありがとうございました。
事故などで子1人が残される場合が深刻でしょうか。あまり考えたくありませんが。
ともかくも丁寧にご回答いただきありがとうございました。
本投稿は、2018年09月29日 15時15分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。







