海外在住で日本と海外の両方から収入がある場合の納税方法について
海外在住で住民票を日本に残しています。現在居住している海外の国では納税者です。
日本でも仕事を始めようと思い、個人事業主の登録をしようと考えています。通常、居住国での納税義務があるかと思いますが、私のように両国から収入を得ようとする場合、納税はどのようにしたら良いでしょうか。
日本での最初の数年はアルバイト程度の収入にしかならないと考えています。居住国と日本では二重課税の回避及び脱税の防止などの条約があるのは目にしました。海外の居住国で日本での収入も含めて税金を納めるのが正しいやり方なのでしょうか。
税理士の回答

米森まつ美
回答します
貴方が日本の非居住者である前提で説明します。(住民票の有無は関係ありません。)
居住地国での課税は、原則「全世界課税」となっていますので、日本での収入も課税対象となりと思われますので、詳細は居住地国の税務当局にご確認ください。
日本の非居住者への課税は「国内源泉所得」に該当する場合、日本で課税されます。
課税される場合は
① 源泉徴収の上申告
② 源泉徴収のみで完結(源泉分離課税) と貴方が日本である所得の内容によって異なります。
国税庁HPの「源泉徴収のあらまし」をご覧下さい。
7枚目P275)の一覧表が確認しやすと思います。
各所得の詳細な説明は25枚目(P293) からご覧ください。 https://www.nta.go.jp/publication/pamph/gensen/aramashi2021/pdf/12.pdf
日本で課税を受けた税額は、貴方の居住国が租税条約を締結している国の場合「外国税額控除」の対象となり、精算されます。
租税条約によっては、使用料などが免税、軽減されている可能性もありますので、源泉徴収を行うこととなる国内の会社様などを通じて「租税条約の届出書」を提出する必要があります。(免税の場合は、居住地国の「居住者証明書」も必要となります)
貴方の日本国内で得る所得(報酬)が、何所得か不明の場合は、報酬の支払者の会社を通じて、その会社の所轄税務署に確認されることをお勧めいたします。
さっそくのご回答ありがとうございます。5年ほどかけて拠点を日本に移したいと考えており、例えば日本の収入は日本で税金を支払い、海外の国ではその国の収入に対して税金を支払う場合、どのような問題が生じるでしょうか。
日本に拠点を移した後でも海外の国でのビザは維持する予定(行ったり来たりだが日本滞在は183日以上になる予定)で、その国の確定申告に日本の収入を申告せずに済むのであればその方が後々ややこしくない気がしています。違法となるのであれば仕方ないですが、両国に税金を納めるので罰則にも触れないかと考えています。助言をいただけると大変助かります。

米森まつ美
回答します
>両国に税金を納めるので罰則にも触れないかと考えています。
残念ながら、罰則・・・特に「居住国」となる国※においては、全ての所得に対して課税すべきものが、海外で得た所得を課税していない場合は過少に課税(納税)していることとなりますので、その事実が把握された場合は、追徴のみならず、加算税や延滞税の対象となりえます。
※拠点が日本国になるというお話でしたので、日本国での課税と罰則の考え方で説明しています。
「両国に税金を納め」ていたとしても、その納税額が過少になる場合は「違法」と考えられます。
なお、ある所得に二重に課税された場合は、「租税条約」が締結されている国であれば調整がされますが、締結されていない国同士であれば、二重に課税となってもそれぞれの法律に沿ったものであれば、調整などはありません。
なぜなら、各国とも「課税権」は国の財政を支える重要な権利であるためです。
先にも説明しましたが、各国とも「居住者」に対しては「全世界課税」としての権利を有しており、「非居住者」に対しては、その国に源泉のある所得(国内源泉所得)に対してのみ課税権を有しております。(タックスヘイブンなどは除きます)
そのため、居住者となるか否かは、その国にとっても重要な事項となりますので、場合によっては双方居住者となるケースもあります。
このような二重課税や双方居住者などの調整を行うための条約が「租税条約」です。
貴方がどの時点で日本の居住者になるかは分かりませんが、日本国籍を有し「日本を拠点」とされるのであれば、帰国時から日本の居住者になる可能性があります。
詳しくは、所轄の税務署に相談し申告などの方法を確認されることをお勧めいたします。
大変丁寧なご解説ありがとうございました。よく理解できました。税務署にも相談して後で困ることのないように対処したいと思います。ありがとうございました。

米森まつ美
ベストアンサーをありがとうございます。
少しでもお役に立てましたら幸甚です。
国税庁HPから居住者・非居住者の説明箇所を参考に添付します。
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/2875.htm
「住所の推定」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/2875-1.htm
「複数の滞在地がある場合」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2012.htm
本投稿は、2023年01月23日 09時57分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。