循環取引の違法性について質問です。
ネットで調べると
・金融商法取引法違反
・特別背任
・詐欺
に該当するからとありますが、それらに当たらない場合、循環取引自体は合法ということでしょうか?
極端な例ではA社、B社、C社の3社がありABC社のでみ取引を繰り返す。他社から借り入れするつもりも、他社に商品やサービスを提供するつもりもない、社長が見栄を張りたいがためだけに100億の売り上げが存在し、従業員もいない。
税理士の回答

小川真文
循環取引においては、商品やサービスそのものは消費者に販売・提供されず、当事者の間で転売が繰り返されているだけであり、本来の意味での売上は発生しません。商社や卸売業者では、一般に商品在庫の多寡を背景に、業界仲間内で保有在庫を転売し、在庫と資金の保有比率を適正に維持するための商取引が普及しています。そのため一般に商品の転売行為そのものが違法・不当として認識されているわけではなく、それを取り締まる法的根拠はありません。
しかし、循環取引では通謀し伝票をやり取りするだけで売上高が不正に操作できることから、企業の成長性を高いように仮装して金融機関の融資を容易にし、あるいは株式の新規発行を有利に導く目的で行われることがあり、この場合上場企業等では有価証券報告書に対する虚偽記載の容疑として立件・摘発の対象とされます。
ご相談の例示も商法的な違法性を問われることはありませんが、税務上は架空の売上仕入や棚卸資産の調整のほか消費税等の問題を孕んでおり、(経験値的に)税務当局も課税上の非違(マイナスの要素が強いですが)が認められれば、摘発される可能性があることをご承知おきください。
本投稿は、2023年12月02日 20時01分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。