非居住者が海外から日本の口座に送金した場合
例えば非居住者が、海外で働いて得た収入を日本の口座に送金した場合、税金がかかるのでしょうか。
年間で200〜300万程度、月20〜30万程度の送金の場合、税務署からお尋ね等は考えられますか?
その際、どのような書類で海外での収入の証明が必要なのでしょうか。
その他、海外で働いている人が海外から日本への送金時注意すべき事はごさいますか。
税理士の回答

石割由紀人
非居住者が海外で得た収入を日本の口座に送金すること自体には、直接的に所得税が課されることはありません。ただし、いくつか注意点があります。
1. 税務上の扱い
非居住者の場合、日本で行われていない収入(国外源泉所得)は基本的に日本の課税対象にはなりません。ただし、送金を受けた金額が結果的に日本で使用され、所得税の申告が不足していると見なされる可能性がある場合には注意が必要です。
2. 税務署からのお尋ね
海外から日本への送金が100万円を超える場合、金融機関が税務署に支払調書を提出します。この情報に基づき、税務署から送金の目的や使用用途を確認するために「国外送金等のお尋ね」が送られることが考えられます。ただし、これは任意であり、必ずしも回答する義務はありませんが、無視すると税務調査へと発展する可能性があります。年間で200〜300万円、月20〜30万円の送金であれば、特に高額な送金ではないため、通常は税務署からの問い合わせを受けるケースは少ないと考えられます。
3. 必要な書類
海外での収入を証明するためには、給与明細、雇用契約書、銀行取引明細書などを用意しておくと良いでしょう。これらの書類があれば、税務署からの問い合わせに対して説明がしやすくなります。
4. 注意すべき点
海外で得た資金を日本国内で利用する際、用途によっては税金の対象となるケースもあります。たとえば、不動産の購入資金に充てるなどは特に注意が必要です。送金が頻繁に行われる場合や金額が急増した場合は、税務調査に備えて資金の流れを透明にしておくことが重要です。
詳しくご回答ありがとうございます、とても勉強になります。
恐れ入りますが、追加で確認したい部分がございます。
1.の日本で使用され〜の部分は4.の部分と併せて考えて、海外から送金されたお金で、日本の不動産購入資金など(数百万数千万規模)に充てる場合課税の対象になる場合があるという認識でよろしいでしょうか。
車、土地や、家などの購入ではなく、年に1,2度(1週間程度)日本に帰ってきた際に観光や、生活の為に4,50万程度の使用(口座から引き出し、もしくはクレジットカードにて使用)なら特に税金の事などは考えなくても問題ないでしょうか。
2,3の部分で、任意、もしくは強制の調査となった場合どのような流れなのでしょうか。
普段海外にいる為、実家に任意、強制の問い合わせや調査の確認書類?担当者?が来ても直接回答ができませんし、書類等を海外から日本に送る場合、最低でも数日はかかると思います。
また、その書類に関しても英語での準備になるのですが、問題ないのでしょうか。
金額的に任意、義務の問い合わせや調査に発展するケースは少ないだろうという事は理解しておりますが、念の為確認できれば幸いです。

石割由紀人
1. 海外送金の資金使用に関して
- 海外から日本に送金された資金で、日本国内で不動産購入など高額な取引に使用する場合、それが所得として認識されることは少ないですが、送金の出所や使用用途によっては課税の考慮が必要になる場合があります。具体的には、資金が何らかの収入(例えば、国外での投資収益等)として認識される場合、日本国内でその収入に対して課税がなされる可能性があります。
- 一方、観光や生活費として年に1,2度程度、数十万円を使用する場合は、通常、所得税上の課税問題は生じないと考えられます。日常的な生活費であり、その利用が所得とは認識されないケースがほとんどです。
2. 税務調査の対応について
- 税務調査には任意調査と強制調査があります。任意調査は調査官の訪問により、納税者の協力のもと行われ、資料提供などが求められます。強制調査は国税局の査察部によって行われ、悪質な脱税が疑われるケースにおいて強制的に行われます(例として、家宅捜索などもあり得ますが、これは一般的に大規模な違反の場合)。
- 海外居住者の場合、直接的な対応が困難であることを税務署に伝えることが重要です。また、必要な書類を海外から送付する際の猶予を確保するため、事前に税務署と連絡を取り合って調整することが推奨されます。さらに、書類が英語であっても通用しますが、可能であれば日本語翻訳も添えて提出できるよう準備しておくとスムーズに進行します。
本投稿は、2024年10月05日 02時53分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。