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非居住者の役員報酬に対する日本国内での税金について

非居住者の役員報酬に対する日本国内での税金について質問です。

現在、日本の企業から月5万円の役員報酬を頂きながら、観光ビザを使い海外で生活をしております。今後も日本には拠点をおかず観光ビザで各国を転々とする予定です。

この場合、日本国内での税金はどのようになるのでしょうか。
4月まで日本国内の別の企業で働いていたこともあり、これまでは自分で確定申告を行っておりました。

よろしくお願いいたします。

税理士の回答

非居住者は、国内源泉所得に対いて課税されます。
給与所得だけの場合、20.21%が源泉徴収されて終了になります。

「抜粋・参考」
No.2878 国内源泉所得の範囲(平成29年分以降)
[平成29年4月1日現在法令等]

居住者については、原則として、日本国内はもちろん国外において稼得した所得も課税対象とされますが、非居住者及び外国法人については、日本国内で稼得した「国内源泉所得」のみが課税対象とされます。
 「国内源泉所得」には次のようなものがあります。

(1) 恒久的施設帰属所得、国内にある資産の運用又は所有により生ずる所得、国内にある資産の譲渡により生ずる所得
(2) 組合契約等に基づいて恒久的施設を通じて行う事業から生ずる利益で、その組合契約に基づいて配分を受けるもののうち一定のもの
(3) 国内にある土地、土地の上に存する権利、建物及び建物の附属設備又は構築物の譲渡による対価
(4) 国内で行う人的役務の提供を事業とする者の、その人的役務の提供に係る対価
例えば、映画俳優、音楽家等の芸能人、職業運動家、弁護士、公認会計士等の自由職業者又は科学技術、経営管理等の専門的知識や技能を持つ人の役務を提供したことによる対価がこれに当たります。
(5) 国内にある不動産や不動産の上に存する権利等の貸付けにより受け取る対価
(6) 日本の国債、地方債、内国法人の発行した社債の利子、外国法人が発行する債券の利子のうち恒久的施設を通じて行う事業に係るもの、国内の営業所に預けられた預貯金の利子等
(7) 内国法人から受ける剰余金の配当、利益の配当、剰余金の分配等
(8) 国内で業務を行う者に貸し付けた貸付金の利子で国内業務に係るもの
(9) 国内で業務を行う者から受ける工業所有権等の使用料、又はその譲渡の対価、著作権の使用料又はその譲渡の対価、機械装置等の使用料で国内業務に係るもの
(10) 給与、賞与、人的役務の提供に対する報酬のうち国内において行う勤務、人的役務の提供に基因するもの、公的年金、退職手当等のうち居住者期間に行った勤務等に基因するもの
(11) 国内で行う事業の広告宣伝のための賞金品
(12) 国内にある営業所等を通じて締結した保険契約等に基づく年金等
(13) 国内にある営業所等が受け入れた定期積金の給付補てん金等
(14) 国内において事業を行う者に対する出資につき、匿名組合契約等に基づく利益の分配
(15) その他の国内源泉所得
例えば、国内において行う業務又は国内にある資産に関し受ける保険金、補償金又は損害賠償金に係る所得がこれに当たります。
 これらについての課税方法は、国内源泉所得の種類、恒久的施設の有無、国内源泉所得が恒久的施設に帰せられる所得か否かによって異なります。なお、租税条約によって国内源泉所得について異なる定めがある場合は、租税条約に従うことになります。
 また、(1)、(15)以外は源泉徴収の対象となります。

(所法5、161、162、164、所令282、282の2)

前職の所得があるので、今年度は自分で確定申告を行い、来年度以降国内の所得が上記の役員報酬のみの場合は源泉徴収してもらうようにして確定申告は不要。
といった認識で合ってますでしょうか?

給与所得者は、年の中途でも、年末調整されて、税金を精算します。
確定申告は、必要経費ありません。

「抜粋・参考」
No.2517 海外に転勤した人の源泉徴収
[平成29年4月1日現在法令等]

 役員や使用人が海外の支店などに1年以上の予定で転勤した場合には、一般的には所得税法でいう非居住者、1年未満であれば居住者になります。
 ここでは、年の中途で非居住者になった役員や使用人に対する源泉徴収のしかたについて、海外に出国する前と出国した後に分けて順に説明します。

 まず、扶養控除等(異動)申告書を提出した居住者で、その年の年末調整の対象となるその年中に支払うべきことが確定した給与等の支給額が2,000万円以下である者が、1年以上の予定で海外に転勤することになった場合には、給与等の支払を行う者は、その居住者が海外に出国する日までに、年末調整をしなければなりません。
 年末調整の対象となる給与等は、出国する日までに支払の確定した給与等です。
 なお、社会保険料や生命保険料などの控除は、出国する日(居住者であった期間)までに支払われたものだけに限られます。
 しかし、扶養控除や配偶者控除(平成30年分以降は、配偶者(特別)控除(源泉控除対象配偶者について控除を受けるものに限ります。))などは、出国の時に控除の対象となる者に係る所得控除額を控除できます。控除対象となるかどうかは次により判定します。

(1)生計を一にしていたかどうか及び親族関係にあったかどうか・・・出国の時の現況
(2)合計所得金額・・・出国の時の現況により見積もったその年の1月1日から12月31日までの金額
 次に、非居住者になった役員や使用人に給与を支払う場合ですが、役員と使用人では、その取扱いが違います。
 海外勤務に対する報酬であっても、内国法人の役員として受ける報酬には、国内源泉所得に該当することから、20.42%の税率で源泉徴収が必要です。
 ただし、その役員が、支店長など使用人としての立場で常時海外において勤務している場合には、源泉徴収の必要はありません。
 非居住者となった使用人の海外における勤務に対する給与は、国内源泉所得に該当しないことから源泉徴収の必要はありません。
 しかし、海外で勤務している使用人や使用人として常時海外で勤務している役員に対して国内において賞与、ボーナスなどが支払われ、その計算期間内に日本で勤務した期間が含まれている場合には、日本での勤務期間に対応する金額に対して20.42%の税率で源泉徴収が必要です。
 なお、給与等の計算期間の中途において居住者から非居住者となった場合、給与等の計算期間が1か月以下であれば、給与等の計算期間のうちに日本での勤務期間が含まれていても源泉徴収をしなくてもよいことになっています(給与等の全額が日本での勤務に対応する場合には、20.42%の税率で源泉徴収が必要です。)。

 ただし、役員の給与等に対する課税の取扱いについては、いくつかの国と租税条約を結んでいますので、これらの租税条約の内容を確認することが必要です。

税理士ドットコム退会済み税理士

今年は二か所からの給与所得を受領しているので確定申告が必要となりますね。

転職し、今の会社だけにお勤めしているわけではなく、従来より、二か所に勤めていたため、4月に退職、今の会社に転職、その際源泉徴収票を渡し、現在の会社が併せて年末調整していただくわけではありませんから。

山中さんは読み取れなかったのでしょう。

税理士ドットコム退会済み税理士

因みに、非居住者となっているため確定申告は納税管理人を設定し、管理人経由で申告することとなります。ご親族に説明、代わって申告していただくことになりますね。

皆さんご回答しておりますが、
住所は、国内か、海外か、いずれかに整理すべきですね。
観光ビザで点々と、ということを公式な前提にしますと、生活の本拠が日本ではないかという疑義も出ます。
生活の本拠が日本であれば、居住者となり、日本で所得を所得税申告して納税しなければなりません。
逆に海外に生活の本拠があるという前提で、諸々整えますと、非居住者で問題ないということにもなりますので、日本での納税義務の範囲は狭くなります。ただ、役員報酬については、日本企業の役員報酬であれば、20.42%の日本の所得税の源泉徴収が適用され、確定申告はできない、というのが取り扱いになり、収入金額、所得金額に応じてメリデメいずれにもなりうると思いますので、何を重視するか、具体的な事実関係、詳細に個別ご相談するほうが望ましいでしょう。以上取り急ぎですが。

みなさん、ご回答ありがとうございます

相田さん
確定申告は納税管理人を設定し、管理人経由で申告することとなります

こちらは、確定申告の時期には帰国し自分で行うことを考えておりますが、問題ないでしょうか。

久川さん
役員報酬については、日本企業の役員報酬であれば、20.42%の日本の所得税の源泉徴収が適用され、確定申告はできない

こちらは、どういう意味でしょうか?確定申告はできない、という箇所が理解できませんでした。それいりますがご説明頂けると幸いです。

よろしくお願いいたします

居住ステータスが日本から見て非居住者、
つまり、海外を生活の本拠としている、という前提の場合に、
日本の会社からの役員報酬に対する日本の所得税の課税は、源泉徴収だけで完結してしまいます。
日本の確定申告で精算はできない制度です。
もっと言えば、居住地国において、所得税の申告をすれば、外国税額控除という制度で、二重課税があるならば、二重課税を排除することはできますが、還付は行われません。日本で納税した税金が海外から還付されるということはありませんので。
このあたりは大変難しい部分ですね。
前提の事実関係により、その事実関係をどう整理するかによって、結果が変わってくると思います。

久川さん

例えば、海外に拠点を置きながら日本で役員報酬以外の収入がある場合は、役員報酬は20.42%の所得税が徴収され、その他の収入は別途確定申告で徴収される。といったことでしょうか?

そうすると、それぞれの収入の額によって税金面で損する場合も得する場合もあり得る、といった感じですか?

居住ステータスが日本から見て非居住者、
つまり、海外を生活の本拠としている、という前提の場合に、
日本の会社からの役員報酬に対する日本の所得税の課税は、源泉徴収だけで完結してしまいます。
日本の確定申告で精算はできない制度です。
もっと言えば、居住地国において、所得税の申告をすれば、外国税額控除という制度で、二重課税があるならば、二重課税を排除することはできますが、還付は行われません。日本で納税した税金が海外から還付されるということはありませんので。
このあたりは大変難しい部分ですね。
前提の事実関係により、その事実関係をどう整理するかによって、結果が変わってくると思います。

非居住者の場合、日本の法人からの役員報酬は20.42%の源泉徴収が行われます。
それ以外の日本からの収入については、非居住者になってから、日本から発生するということでしたら、給与所得に関しては、日本国内で役務提供しなければ、日本の所得税の源泉徴収は行われません。
居住地国で所得税の申告をする、ということが基本となります。
メリデメと申し上げたのは、日本の居住者として申告をすることも、選択肢としているのであれば、居住者であれば、源泉徴収も確定申告も取扱が異なりますので、20.42%の源泉徴収分離課税にはならないため、とられっぱなしにはならない、という意味です。
なかなか、居住者・非居住者、取扱が別ですので、わかりにくいと思います。

税理士ドットコム退会済み税理士

非居住者は自ら確定申告することは出来ません。
必ず納税管理人を通じて提出することになります。
行政事務上の便宜として、国外の方に税務調査の連絡、申告書についての問い合わせ等していられませんから。決まり事です。

久川さん、相田さん

ありがとうございます
どれも知らないことばかりで、とても勉強になりました。

本投稿は、2018年08月13日 09時33分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。

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