海外の現地企業に勤務した場合の所得税や住民税について
2014年から2018年までの約4年間マレーシアの現地企業に勤務し、月3000リンギット(現在のレートで日本円換算すると7万8千円程度)の給与を貰っていました。この場合、所得税と住民税を納める必要はあるのでしょうか。なお、住民票は転出しておらずそのまま本籍地に残してあり、マレーシア企業勤務中も一年に一回は日本に一時帰国していました。
自身でネットで調べてみたところ、住民税の控除額(基礎控除+給与所得控除)は100万円、所得税の控除額(基礎控除+給与所得控除)は103万円のようでした。現在の換算レートに従えば私の年間給与額は93〜4万円となるため、どちらにおいても控除額範囲内に収まり、住民税と所得税ともに納める必要はないと思われます。この認識は正しいのでしょうか。
あわせまして、他国の通貨で給与を受け取っていた場合、年間給与額を日本円換算でどのように算出すべきなのかもお教えいただければ幸いです。
税理士の回答
住民票は、日本にあってもご質問者の場合には、非居住者に該当すると思われます。
非居住者の場合、国外所得は、所得税の課税対象にはなりません。又、住民税も課税対象にはなりません。
[参考]
No.2875 居住者と非居住者の区分
[平成30年4月1日現在法令等]
1 国内法による取扱い
我が国の所得税法では、「居住者」とは、国内に「住所」を有し、又は、現在まで引き続き1年以上「居所」を有する個人をいい、「居住者」以外の個人を「非居住者」と規定しています。
「住所」は、「個人の生活の本拠」をいい、「生活の本拠」かどうかは「客観的事実によって判定する」ことになります。
したがって、「住所」は、その人の生活の中心がどこかで判定されます。
ある人の滞在地が2か国以上にわたる場合に、その住所がどこにあるかを判定するためには、職務内容や契約等を基に「住所の推定」を行うことになります。
「居所」は、「その人の生活の本拠ではないが、その人が現実に居住している場所」とされています。
法人については、本店所在地がどこにあるかにより、内国法人又は外国法人の判定が行われます(これを一般に「本店所在地主義」といいます。)。
2 租税条約による取扱い
租税条約では、わが国と異なる規定を置いている国との二重課税を防止するため、個人、法人を含めた居住者の判定方法を定めています。
具体的には、それぞれの租税条約によらなければなりませんが、一般的には、次の順序で居住者かどうかを判定します。
個人については、「恒久的住居」、「利害関係の中心的場所」、「常用の住居」そして「国籍」の順に考えて、どちらの国の「居住者」となるかを決めます。
法人については、相手国が法人を実質的に管理する場所がどこにあるかにより、内国法人又は外国法人の判定を行っている場合(これを一般に「管理支配地主義」といいます。)には、本店所在地主義と競合することになり、双方居住者の問題が生じますが、その場合には、その法人を実質的に管理する場所のある国の「居住者」とみなすことになります。
本投稿は、2019年06月19日 16時38分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。