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海外法人に対する売り上げを日本の口座で代わりに受け取る際の注意点について

日本に支社や法人がない海外企業の日本における売り上げ金を、別の日本企業が日本にある銀行口座で代わりに受け取る際の税務上の注意点について教えてください。

現在、海外企業(ソフトウェアの開発・販売)とコンサル契約を結び、日本における営業活動を支援しています。本海外企業は、日本には支社や法人はなく、連絡事務所として日本でヴァーチャルオフィスを借りているだけとなります。このため、日本では営業活動が禁じられているため、弊社とコンサル契約を結び、弊社が日本における営業活動を行なっております。

これまで、本海外企業とのライセンス契約は日本のお客様と本海外企業との間で直接締結され、支払いは日本のお客様より外貨で本海外企業の海外口座に直接お支払いいただく形をとっております。ただ、お客様より、日本円で日本の口座に払うことができないかとの相談を受け、弊社の法人普通口座(日本)に日本円でお支払いをいただき、そこから本海外企業の海外口座に外貨で送金することを考えております。ただし、ライセンス契約自体は引き続き、本海外企業と日本のお客様との間で直接締結していただくことを想定しております。

このケースにおいて、本海外企業から見たい場合と弊社(日本企業)から見た場合の両方で、税務上、注意すべき点があればご教示いただけますと幸いです。

例えば、日本企業の口座を経由することで、本海外企業に日本における納税義務は発生しないか?弊社が代わりに売り上げ金を受ける取ることで、弊社としてはこの売り上げ金に対する勘定科目を含む会計処理や税金対応はどうなるのか?法的に注意しなければいけない点など法的リスクはなにかあるのか?、等。

何卒、よろしくお願いいたします。

税理士の回答

はじめまして。税理士の佐藤淳一と申します。
ご相談について、簡単にですが整理させていただきました。
ご参考にしていただけますと幸いです。

1.貴社の口座を経由することにかかる税務リスク
契約条件は変わらず、単に支払い手段として貴社を通してクライアントが海外企業に対価の支払いをする場合には、特段税務上のリスクはありません。
※為替リスクの負担や口銭手数料をどうするかなどの細かい議論は割愛します。
会計処理としては、入金時に預り金として処理し支払い時に預り金を消し込む処理が一般的です。

2.代理人PEとして認定されるリスク
ご質問とは逸れますが、本件において課税上のリスクが高くかつ影響度が重大な内容として、貴社が海外企業の代理人PEとして認定されるリスクがあります。

昨今では平成30年度税制改正においてPE関連規定の見直しが行われました。この改正によって代理人PEの規定が見直され、本件のようないわゆるコミッショネア取引についてもPEの範囲に含められることになりました。

貴社が代理人PEに該当するか否かは貴社と海外企業とのコンサル契約の中身によります。例えば貴社が契約の相手方の海外企業の製品(ライセンス)しか取扱いができないといった「独立した」代理人としての行動が極端に制限されるような契約を結ばれているような場合には、PE認定されるリスクが高まります。

また貴社が「海外●●社の日本におけるアンバサダー(カントリーマネージャ)」などの名称であたかも海外企業の一員として対外的にPRしているような場合にも代理人PEとして認定されるリスクがあります。
※代理人PEの範囲に、「外国企業等のために、外国企業等の資産の所有権の移転等に関する契約を反復して締結、あるいは一定の契約のために主要な役割を反復して果たす者」が平成30年の改正で追加されました。

仮にPE認定された場合には、海外企業については、日本で生じたとみなされる所得について課税義務が生じます。この場合は二重課税の排除が問題となります。また貴社においては、売上を輸出免税とされていれば、これは国内取引に該当することになり輸出免税の対象ではなくなります。この場合はコミッションフィーについて変更しないとPE認定されることによる消費税分の不利益を貴社が負担することになります。

3.まとめ
本件につきましては、PE課税について検討済みでしたら申し訳ありませんが、もし検討されていないようでしたら貴社と海外企業とのそもそものコンサル契約の内容について、一度専門家に見て頂いたほうがよろしいように思います。

                               

ご丁寧な回答ならびにわかりやすいご説明、ありがとうございます。私が知りたかったこと、懸念していたことがすべて網羅されており、非常に助かるとともに(よい意味で)驚きました。感謝いたします。ご指摘いただいたPEの件につきましては、ほぼ該当する契約および活動内容となっておりますので、実際に進める際にはご助言の通り、専門家の方に相談させていただくようにいたします。本当にありがとうございました。

本投稿は、2019年10月08日 08時16分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。

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