所得税と消費税、二重課税になる?
初歩的な疑問なのですが、質問させていただきます。
所得税は所得に課税される税金、消費税は消費行為に課税される税金なのは分かるのですが、両者の違いがよく分かりません。
例えば給与所得においても
被雇用者が労働というサービスを提供する見返りに雇用者が代金として給与を支払うのであれば、一種の消費行為と見なすことも出来るのではないでしょうか。しかし給与所得に消費税が課されることは少なくとも私に知る限りにおいてはありませんでした。
これはどういうことなのでしょうか?
税理士の回答

消費税は、大前提として「国内において」「事業者が事業として」「対価を得て行う」「資産の譲渡・貸付または役務の提供」に対し課されます。
雇用契約に基づいてされる労働は、事業ではありませんので、給与に対し消費税は課されません。
国税庁HP: 課税の対象とならないもの(不課税)の具体例
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shohi/6157.htm
消費税には、商品やサービスが消費者に届くまでの各段階で二重三重に課されないように調整する、多段階累積控除という仕組みがあります。
この仕組みで、事業者間で商品やサービスの移転が行われたときに、購入者側が仕入税額控除を行うことによって、最終的に消費者が消費税を負担することになります。
仕入税額控除が行われなければ、生産流通段階で消費税が累積し、消費者に届くときには膨大な消費税になってしまうのは想像できると思います。
この多段階累積控除は、事業者が独立した立場で取引を行っていることが前提になります。
一方、給与所得者は雇用者の事業に従属しているため、同一の事業に属する者同士で役務と資産が移転しただけで、給与所得者が雇用者に提供する役務の提供は独立した事業者間で商品やサービスの移転が行われたことにはなりませんから、給与等を対価とする役務の提供に消費税は課されないものと考えられます。
ですから、消費税法第4条(課税の対象)で、国内において事業者が行った資産の譲渡等…と規定しています。
本投稿は、2021年10月14日 22時33分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。