法人化に伴う自動車保険料及び福利厚生費の扱いに関して
法人化に伴う自動車保険料及び福利厚生費の扱いに関して、各々1個質問があります。
1 今月から個人事業を法人成りさせる弁護士です。個人事業時代の昨年5月末購入した自動車を、今月中に法人に売却して、減価償却、メンテナンス費用やガソリン代等を全額損金化しようと考えています。
自動車保険についても、法人の契約にして保険料の損金化を狙っています。しかし、保険料が安いダイレクト系損保では、法人名義の自動車の保険を受け付けてくれる会社(そもそも受け付けない会社もあります)であっても、契約者は個人にしなければならない、又は法人契約を認めても保険料が個人と比較すると大幅に高額である、という制約がある会社があります。このような場合、代表者個人名義での保険契約をしたいわけですが、個人名義で、個人が保険料を支払った場合、これを法人の損金とすることは可能なのでしょうか?もし可能とすれば、どういう点に気を付ければいいでしょうか?
ちなみに、自動車を運転する可能性があるのは、法人化の前後を通じて代表者である私一人だけです。
2 個人事業時代、同居する両親を専従者とし、専従者給与を支払ってきました。法人化すると、私が役員(弁護士法人の場合、「社員」です)、両親は従業員(弁護士法人では弁護士以外は役員=社員にはなれません)となります。このような場合、私と両親で外食や旅行に行く場合、福利厚生費として認められる余地はないでしょうか?認められるとして、どういう点に気を付ければいいでしょうか?また、親族外の従業員がいる場合は、結論に違いがありますか。
税理士の回答
こんにちは。
自動車保険については、法人名義での契約とされるのがベストです。
ただし、実態が仕事に使われている場合については個人での契約であっても会社経費としても基本的には問題ないものと思われます。
この点、当該保険料を会社経費としている点について仮に税務調査等で指摘があった場合、税務上否認される可能性が多少はあるという点、ご了承ください(認定給与とされるケースも考えられるということです)。
従業員に対する福利厚生は原則として経費とできます。
注意すべきは規程等でどういう場合にいくら支給されるかを明確化しておくことです。
そのことにより、従業員間で特別な取り扱いがないようにしておく必要があります。
福利厚生費の範囲関係の記載が国税庁HPのタックスアンサーNo.2603等にございますので参照してみてください。
以上、ご参考になれば幸いです。
ありがとうございます。自動車保険については、個人で契約すると実態に関する議論が誘発されるということですね。法人で安く契約できれば何の問題もないのですが・・・。あるダイレクト損害保険会社の担当者は、法人名義の車について代表者個人が保険契約をしているケースは結構あり、恐らく損金にしているのではないか、と言っていました。
また、福利厚生費についてですが、役員=社員である私の分も含めて損金にできるという理解でいいでしょうか?
また、法人の場合、その従業員が代表者の家族であるという点については、特に問題にならないということでしょうか?飲食代金の場合、規程を緩くしておくと際限なく経費化できてしまうことになりかねず、それは結構怖いと感じてしまいます。
自動車保険は仰るように社長が個人で契約しているが損金としているケースもあると思います。この点、実務上は事業の用に供している実態があれば会社経費と認められると思います。
なお、役員の福利厚生費については役員報酬認定を受ける可能性があるので、あくまで従業員に対するものを損金経理すべきと考えます。
同族経営については、行為計算の否認規程があり、究極的には租税回避行為と見られるようなケースは否認されるという考え方があります。
タックスアンサーを見ていただくとわかるかと思うのですが、損金にできる福利厚生費の範囲はわりと厳格に定められております。
したがって、詳細はタックスアンサー等をご参照いただき、税務署から指摘されない程度の厳格さをもった規程としておく必要があると考えます。
同族会社は親族関係を利用した租税回避行為に該当しないかを税務署はチェックすると思いますので、経済的合理性があり、社会通念上妥当と認められる範囲での経理処理を行うことで税務リスクを押さえることができると思います。
以上、よろしくお願いいたします。
大変参考になりました。ありがとうございました。
本投稿は、2018年04月05日 14時13分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。