資産管理会社設立を含む節税の選択肢についてご意見ください
節税対策についてご相談です。
ある程度の高収入が継続しており、投資による資産形成も進めてきました。現在の年収は概ね5,000万円前後で、給与所得が中心です。また、株式・投資信託などの金融資産が6,000万円程度あり、現在の自宅についても将来的に賃貸活用を視野に入れています。
現在、節税策の一つとして資産管理会社の設立を検討していますが、自分の状況から本当に有効なのか、それとも他のスキーム(例えば保険、不動産、小規模企業共済など)を優先すべきか迷っています。特に不動産投資については、節税効果を重視したいものの、大きなリスクを取るつもりはありません。
節税と資産保全の両面で、どのような方向性が考えられるか、アドバイスをいただけますと幸いです。
税理士の回答

佐藤和樹
ご状況を踏まえたうえで、節税・資産保全の観点から考えられる選択肢を整理しました。
① 資産管理会社の設立:有効だが慎重な設計が必要
メリット
所得分散(ご家族が役員になれる場合)
退職金スキーム(法人から退職金を受け取る形での分離課税)
金融商品の利益を法人課税でコントロール
不動産を法人所有とすることで経費計上範囲拡大
自宅を法人に貸すことで地代収入(※役員社宅スキーム)
留意点
初期費用・維持コスト(登記・法人税申告・社会保険など)
利益が出ないと逆にコスト倒れ
給与所得者である以上、資産管理会社からの「節税効果」は限定的(役員報酬を取るか否かの設計がカギ)
ご自身の「将来的な不動産活用」や「株式等の運用益が増える見込み」があるなら、将来的利益を受け皿にする器としての活用は有効です。ただし、今すぐ節税目的で設立しても効果が薄い可能性があります。
② 不動産投資:節税狙いなら「減価償却」と「ローンの活用」に着目
メリット
減価償却による所得圧縮(木造築古ならより効果大)
ローン活用による利子の損金算入
将来的に賃料収入を法人に移すことも可能
土地の相続税評価圧縮効果
注意点
節税偏重の物件選定はNG(赤字物件になりやすい)
インカム型に偏ると節税インパクトは限定的
不動産所得と給与所得は損益通算可(ただし税制改正リスクあり)
ご自宅を将来的に貸す想定があるなら、譲渡益課税や固定資産税の面でも計画的に法人へ移管するスキームを視野に。
③ 小規模企業共済・iDeCo:節税+資産保全の定番
年間最大84万円まで控除(小規模企業共済)
iDeCoなら年14.4~81.6万円(職種に応じて)控除
退職所得・年金としての受取時にも税制優遇あり
すでに資産管理会社を設立した場合、自分を代表者として加入資格が得られます。“節税しながら退職金を貯める”スキームとして極めて有効。
④ 保険スキーム:税制改正の影響大きいが一部に余地あり
法人契約の定期保険(長期平準・逓増型)などは節税目的でかつて多用されましたが、2019年以降税制改正により多くが使えなくなっています
一方で、逓減定期(福利厚生+保障)や全額損金対象の少額保険など、部分的にはまだ使えるものもあり
資産保全+相続対策を主目的に据える場合は検討余地ありですが、「節税」目的に偏ると費用倒れになりやすいです。
⑤ ふるさと納税・NISA・つみたて投資など
節税というよりは「税負担の先送り」や「非課税口座による資産成長の促進」
ご自身でNISAを上限まで活用しつつ、配偶者にも活用させることで世帯として最適化が可能
多角的にアドバイスいただき有難う御座います。
それぞれについて勉強・検討を進めたいと思います。
本投稿は、2025年07月29日 15時58分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。