町家を改修し事業に使いたいのですが、節税について教えてください。
定年後、個人事業を始めたいと思っています。そこで、私が所有している町家(100年は経過しています)を耐震改修し(2000万ほどかかるそうです)事業に使いたいのですが、改修費用の合法的な節税についてお教えください。
まず、個人事業者として登録することで、全額必要経費とできるでしょうか。あるいは、部分的に必要経費とできるでしょうか。あるいは、減価償却分が必要経費となるのでしょうか。
建物の構造に手を入れるほか、外壁の修理、キッチンなど水回り、オフィス用家具、照明、電源工事などが必要になります。どの部分は必要経費となるのでしょうか。
事業としては、NPOや社会起業家の事務所として貸したいのですが、少なくとも数年間は高い賃料は設定できないと思います。定年後も給与所得があるのですが、赤字となった場合、給与との損益通算は可能でしょうか。
なお、改修後、直ぐに町家に居住することはありませんが、将来、自宅として使う可能性もあります。
よろしくお願いします。
税理士の回答

1.町家を賃貸する場合は不動産所得になり、不動産所得の計算上、賃貸用不動産の減価償却費や修繕費は必要経費になります。
2.改修費の大部分は減価償却費として、改修費の残り一部は修繕費として必要経費になると思われます。
3.どの部分が固定資産として減価償却し、どの部分が修繕費になるかについては、税法上細かいルールが定められています。
概ね、平たい言葉でいうと次のような感じです。
① 建物の価値が上がったり、耐用年数を長くする改修工事は固定資産、壊れたものや傷んだものを原状復帰するような改修工事は修繕費
②固定資産的な支出であっても、30万円未満のものは修繕費にすることができる
耐震のための改修、構造部分の改修は耐用年数の延長につながるので固定資産に計上したうえで減価償却費として費用化することになると思われます。
外壁工事、給排水工事、電気工事、照明工事等も同様に判断します。外壁工事については原状復帰的なものになる可能性がありますが、それを除けば機能を新しくする工事になりますので固定資産的な性格のものが大半だと思われます。オフィス家具も固定資産的な性格のものです。
ただし、固定資産的な性格のものであっても、上述のように30万円未満のものは費用計上することができます。
4.不動産所得の赤字は、給与所得と損益通算をすることができます。
5.将来、自宅として利用する場合であっても、賃貸している期間については上記の通りです。

・改修後の町家が、すべて賃貸用であれば、改修費用を建物として資産計上し、減価償却により、毎年、費用化します。
・すべてが賃貸用であれば、減価償却により必要経費となります。仮に個人使用部分があれば、減価償却費×事業使用割合8割のように計算します。
・給与所得と不動産所得の損益通算は可能です。
・改修費用のほとんどは、資産計上が必要で、原状回復費用としての修繕費計上は難しいと思います。既存の建物設備の撤去費用は経費になります。
アドバイスありがとうございます。減価償却についてですが、耐震改修投資促進税制で25%償却可能という記事を見ました。個人事業者にも適用されるのでしょうか。また、別のWebで、京町家の投資に関して(私は投資目的ではないのですが)、4年で償却可能と書いてありました。暫くは収入があるので、4年で2000万を償却可能なら、改修できそうに思いました。100年の建物なので、改修か、廃棄か、迷っています。アドバイスをよろしくお願いします。

自己の居住の用に供する家屋が対象で、貸家は対象外となります。
No.1222 耐震改修工事をした場合(住宅耐震改修特別控除)
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1222.htm
今回の改修は、木造22年の耐用年数と思います。
中古の建物を購入し、改修した場合は、以下の取扱いとなり、耐用年数の短縮は可能ですが、今回は難しいと思います。
その中古資産を事業の用に供するために支出した資本的支出の金額がその中古資産の取得価額の100分の50に相当する金額を超える場合には、簡便法により使用可能期間を見積もることはできません。
No.5404 中古資産の耐用年数
https://www.nta.go.jp/m/taxanswer/5404.htm
ありがとうございました。大変参考になりました。
本投稿は、2018年08月11日 23時18分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。