土地の暦年贈与における具体的方法について
親が所有する土地に使用貸借という形で住宅を建て、数年が経過しました。この土地を生前贈与にて名義変更を考えています。土地価格からおおむね3年から4年の暦年にて贈与すれば年間基礎控除の110万以下となり、贈与税はかからない計算となります。
ここで質問です。贈与税のかからない土地の暦年贈与とするために、具体的に何が必要なのかがわかりません。毎年贈与契約書の作成のみでいいのでしょうか。それとも実際に贈与部分の名義変更(登記手続き)等が必要なのでしょうか。
ちなみに自分の住んでいる土地は親の名義ですが分筆されており、この部分を暦年贈与したいと考えていますが、この土地はこれ以上分筆することはできません(接道の関係上)。
税理士の回答

酒屋就一
贈与契約書の作成と、名義変更の両方が必要であると考えます。
早速のご回答有難うございます。
土地の名義変更が必要=分筆が必要=暦年贈与不可との結論となりそうでしょうか。
それとも何分の一づつの共同所有名義としていく名義変更処理が可能であれば暦年贈与可能ということでしょうか。このあたりの管轄は司法書士、法務局管轄と思われますが過去取扱い事例等あればご教示いただけると幸いです。

酒屋就一
分筆はせずに、持分の登記は「何分の一ずつ」といった登記はできますので、贈与も可能と考えます。
ただ、やはり登記コストはかかりますので、相続対策としてされるのでしたら効果は少なくなる可能性はあります。
「何分の一ずつ」といった登記が可能なのですね。
登記コストとのバランスを考えて検討したいと思います。
ありがとうございました。
先般、税務署の見解も確認したく、以下のような問い合わせをしてみました(電話にて相談ダイヤルへ)。
親が所有する土地に使用貸借という形で住宅を建て、数年が経過しました。この土地を生前贈与にて名義変更を考えています。土地価格からおおむね3年から4年の暦年にて贈与すれば年間基礎控除の110万以下となり、贈与税はかからない計算となります。
そもそも、この取り扱いが可能なのか、と。
結論としては、「毎年登記料は発生してしまいますが、そのような取り扱いは可能です。」が第一声でした。
しかしながら私から、「贈与契約書作成のみでは足らず、登記をしないと暦年贈与とは認められないのですね」と質問したところ、「後付で節税対策のため作成したのではないか、といった疑念を抱かれかねない」とのことでした。
それでは「この贈与契約書が、明らかに毎年作成されたものであることが客観的に証明できる体裁を整えていた場合には、暦年贈与は有効に成立するのですか」と問いかけたところ、否定的な返答はなく、この電話では具体的な返答できない旨の返答でした。
土地の暦年贈与を行うに当たり、実際の登記手続き(名義変更)が必要との法令(ガイドライン等含)があるのかと確認すると、そのようなものは無いとのこと、この結論からして、登記手続きに関しては、あくまでも毎年、一定の価額を確実に贈与しているとった事実を補強する要素として捉えるものと推察されます。
登記はせず、贈与契約書のみの作成であっても、それを作成の都度公証役場へ持参し、確定日付印をもらうなどして毎年作成していることの客観的事実を補強することができるのであれば、暦年贈与としての有効性は高まるると思われますがいかがでしょうか。
もちろん、専門家目線のアドバイスとしては安全策として登記を行うことが無難な選択(間違いはない)であることはよく理解できます。
また、このような処理を行い最終的に暦年贈与は認められないとなった場合に、それでは相続時精算課税制度を利用します、といったことも選択肢としてはありえますが、このような取り扱いはあり得るのでしょうか。重ね重ね教諭句ですが専門家見地からのご意見をいただけますと幸いです。

酒屋就一
「登記はせず、贈与契約書のみの作成であっても、それを作成の都度公証役場へ持参し、確定日付印をもらうなどして毎年作成していることの客観的事実を補強する」という方法でも、課税を免れる可能性はあると考えます。登記料を節約して、贈与税課税リスクをとる、という形ですね。
相続時精算課税は後出しで利用することはできません。贈与があった年の翌年2月1日から3月15日の間に申告する必要があります。一度選択すると暦年贈与が選べなくなるなどのデメリットもありますのでよくご検討ください。
丁寧なご回答、有難うございました。
課税リスクも含め、検討させていただきます。
本投稿は、2019年08月24日 14時53分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。