法人化と漫画の著作権
自営業の漫画家で法人化予定、著作権で迷っています。
・漫画の著作権を法人に移行する
・法人を個人の著作権等の管理会社にする
漫画家ではどちらが多いでしょうか?
また、管理のしやすさの違い、注意すべきことはありますか?
税理士の回答
山口勝己
法人を個人の著作権等の管理会社にする(著作権は個人に残す)パターンが一般的です。
漫画家が法人化(法人成り)する場合、著作権そのものを会社に移転させるケースは少なく、著作権は作者個人に保持したまま、法人を「窓口(管理会社)」として利用する方法が広く選ばれています。
管理のしやすさの違い
1. 法人を管理会社にする場合(個人保有・法人管理)
管理のしやすさ:高出版社との契約や、印税・原稿料の受け取り窓口を「法人」に指定するだけで運用できます。著作権の権利自体は動かさないため、契約書の表記を「著作権者:個人、経由:法人」とするだけで済み、実務の手間が最小限に抑えられます。
2. 著作権を法人に移行する場合(法人保有)
管理のしやすさ:低過去の作品から新規の作品まで、すべての著作権を法人に移転する契約(譲渡契約)を個人の法人間で結ぶ必要があります。作品ごとに権利の移動を管理しなければならず、事務負担が大幅に増加します。
注意すべきこと・リスク
1. 会社をたたむ(解散)ときのリスク
法人に著作権を移してしまった場合、将来的に会社を清算・解散する際、著作権を再び個人に戻す(または他者に譲渡する)手続きが必要になります。その際、著作権の「時価評価」を求められ、思わぬ税金(所得税や法人税)が発生するリスクがあります。
2. 海外からの印税(源泉税)の壁
近年、日本の漫画は海外で電子配信やアニメ化される機会が増えています。アメリカなど一部の国では、租税条約による源泉所得税の免除・軽減措置が「個人」には適用しやすく、「法人」には条件が厳しく設定されているケースがあります。法人で権利を丸抱えすると、海外印税の税率が高くなってしまうデメリットがあります。
3. 著作者人格権は移動できない
法律上、著作権(財産権)は会社に移せますが、「著作者人格権(作品の改変を拒否する権利など)」は専属的権利であるため、会社に移転することはできません。どのみち個人と法人の切り離しは完全には不可能です。
わかりやすい解説をありがとうございました。
法人を個人の著作権等の管理会社にする形で進めようと思います。
山口勝己
参考になれば幸いです。よろしくお願いいたします。
本投稿は、2026年08月07日 13時46分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。







