青色申告【配偶者の収入記入方法】
妻の収入
業務委託・年間1,284,000円予想
特定の事業者での専属的役務提供
(SNSなどの広報担当)
上記の条件のお話とさせていただきます。
①合計所得金額の出し方
②申告の有無
③所得税/住民税支払いの有無
④実際の記載方法
についてご教示ください。
【業務委託契約などの「事業や雑所得」であれば
収入金額 - 必要経費 =事業(雑)所得金額】
①収入から「家内労働者等の必要経費の特例」分を引いた金額が「合計所得金額」と理解してよろしいでしょうか。
1,284,000 - 650,000 = 634,000
【今年の税制改正で、合計所得金が132万円以下の場合は基礎控除額が95万円と改正となっています。(段階的に減額されます)
そのため、奥様の合計所得金額が95万円以下であれば、奥様の確定申告義務はありません。】
②合計所得金額が634,000なので確定申告は不要。
【住民税の基礎控除額35万円以下となりますので、住民税の所得割の課税は発生ませんが、均等割りの5千円は課税となる可能性があります。】
③634,000に所得税と住民税がかかってくる?
【記載する箇所としては、確定申告の第一表の「58」欄(○に58)」に奥様の「合計所得金額」を記載し、配偶者控除額または配偶者特別控除額を第一表㉑~㉒欄に記載します。】
④合計所得金額は634,000
控除額は380,000
の記載をする。
よろしくお願い申し上げます。
税理士の回答
① 合計所得金額の出し方
業務委託契約による報酬は「事業所得」または「雑所得」に区分されます。
専属的な役務提供で、継続して報酬を得ている場合は事業所得として扱うのが一般的です。
収入 - 必要経費 = 所得金額(=合計所得金額)
家内労働者等の必要経費の特例を使う場合、経費を一律65万円として計算できます。
したがって
1,284,000円 - 650,000円 = 634,000円
よって合計所得金額は634,000円となります。
② 申告の有無
原則として所得が48万円を超える場合、確定申告の対象となります。
ただし、実際に税額が発生しない(控除額の方が多い)場合や、源泉徴収されていない場合などは、実務上は申告を省略しても問題ないケースが多いです。
今回の所得634,000円は、基礎控除48万円を超えているため、形式的には確定申告の対象です。
ただし、夫側の配偶者控除・配偶者特別控除を適用するために、夫の確定申告書に「配偶者の合計所得金額」を記載することになります。
③ 所得税・住民税の支払い有無
所得税:
所得634,000円 − 基礎控除480,000円 = 課税所得154,000円
課税所得154,000円 × 税率5% = 7,700円(概算)
したがって少額の所得税が発生しますが、年末調整や確定申告で控除を受ければ最終的に0円になることもあります。
住民税:
住民税の基礎控除は35万円。
634,000円 − 350,000円 = 284,000円が課税対象。
ただし、多くの自治体では所得割がかからなくても、均等割(年間5,000円程度)は課税される可能性があります。
④ 記載方法(夫の確定申告書)
確定申告書第一表の「58欄(配偶者の合計所得金額)」に634,000円と記入。
配偶者控除の対象ではなく、配偶者特別控除の範囲になります。
配偶者特別控除額の計算表に当てはめると、配偶者の合計所得金額が634,000円(=63.4万円)なので、夫が満額(38万円)の控除を受けられます。
とてもわかりやすいご説明
ありがとうございます。
②③について改正内容を交えて確認させていただきます。【】内は国の情報より抜粋したものになります。
【2025年の税制改正により、所得税の基礎控除額が、原則として2025年分以降の所得税について58万円に引き上げられます。】
②でご説明いただきました、基礎控除480,000円とは上記の"所得税の基礎控除"と同じものを指すと理解して合っておりますでしょうか。
妻の収入634,000円のため、申告の対象。
ということで間違いありませんでしょうか。
上記の改正58万円の内容に加えまして…
【令和7年分及び令和8年分においては、合計所得金額が655万円以下の納税者について、基礎控除額がより手厚く設定されています。例えば、合計所得金額が132万円以下の方の場合は95万円となります。】
上記の資料に伴い、③での上田様のご説明内容は以下の理解で合っておりますでしょうか。
③所得税・住民税の支払い有無
所得税:
所得634,000円 − 基礎控除950,000円 = 課税所得0円
課税所得0円 × 税率5% = 0円(概算)
住民税の基礎控除額については以下の通りです。
【住民税の基礎控除額は、原則として43万円です。これは、個人の合計所得金額が2,400万円以下の場合に適用される金額です。 】
住民税:
住民税の基礎控除は43万円。
634,000円 − 430,000 = 204,000円が課税対象。
204,000 × 税率10% = 20,400円
かつ、均等割(年間5,000円程度)課税。
いかがでしょうか…。
950,000円については段階的控除とも国の情報に書かれておりましたので正確には存じておりませんが、改正内容を含めてご教示お願いいたします。
追記させていただきます。
【家内労働者等の必要経費の特例を使う場合、経費を一律65万円として計算】
妻の住民税申告書提出を考えております。
住民税申告書に特例を用いて経費計算をした旨を記入する必要があると思われますが、どのように行うべきでしょうか?
上田先生がご回答なされていることを踏まえて補足回答させていただきます。
奥様の合計所得金額が63万円のため、所得税の基礎控除額95万円の適用とご認識いただいて問題ありません。
申告対象の有無は実際の納税の有無ではなく、合計所得金額がいくらかによって決まります。
そのため、個人事業主やフリーランスであれば合計所得金額(事業所得)が1円以上。給与に副業がある場合、副業の合計所得金額が20万円超であれば申告が必要です。
所得税・住民税の有無に関しましては、所得税0円、住民税20,400円(所得割)と5,000円(均等割)が概算となります。
おっしゃる通り、令和7年税制改正に伴い基礎控除額は43万円適用で問題ないです。
基礎控除の改正内容は以下の通りでございます。
・所得税
合計所得金額が 2,350万円以下の人 について、控除額が従来より 10万円引き上げられ、最低でも 58万円 となりました。
所得水準に応じて段階的に控除額が変わる仕組みも設けられています。
合計所得132万円以下 → 控除額95万円
合計所得132万円超336万円以下 → 控除額88万円
合計所得336万円超489万円以下 → 控除額68万円
合計所得489万円超655万円以下 → 控除額63万円
合計所得655万円超2,350万円以下 → 控除額58万円
合計所得2,350万円超の場合は従来通りの取扱いとして変更なし。
・住民税は基礎控除の改正はなく、令和3年分より43万円が据え置きとなります。
追記分を回答いたします。
仮に所得税の確定申告書を提出する場合は、住民税申告書の提出は不要でございます。
→住民税は「所得税の確定申告書データ」を市区町村が自動で受け取る仕組みのため
住民税申告書を提出する必要がある方は主に下記の該当者となります。
・所得税の確定申告をしていなくて、収入がある人(合計所得金額0円であっても)
・年金収入のみで所得税申告が費用な人
・給与所得者で年末調整済みだが、副業収入がある人(合計所得金額が0円であっても)
・確定申告をしたくない理由がある人(例えば配偶者扶養内で、所得税申告による書類提出を避けたい場合)
なお、住民税申告書提出をお考えであれば、
家内労働者等の必要経費の特例(65万円)を使う場合、住民税申告書でも「特例を適用して計算している」という事実を分かる形で記載しておくのが安全です。理由として、住民税申告書は所得税申告書のように詳細な決算書を添付しないため、「なぜ必要経費が65万円になっているのか」が申告書だけでは読み取れないことがあるためです。
具体的な記入方法は下記の通りです。
・住民税申告書の「備考欄」へ記入
最も一般的で、市区町村も理解してくれます。
記載例:「家内労働者等の必要経費の特例(65万円)を適用して計算しています。」
これだけで大丈夫です。
・事業所得の明細欄(収入-経費)に注記を入れる
例えば「必要経費:650,000円(特例適用)」という書き方でも問題ありません。
・任意の添付メモをつける
市区町村によっては備考欄が狭い場合があります。その場合は、「家内労働者等の必要経費の特例を適用し、必要経費を65万円として計算しています。」
という簡単な1枚メモを添付しても大丈夫です。
大変詳細な点まで素人にもわかりやすく
ご説明いただき誠にありがとうございます。
全て今一度拝読し実践させていただきます。
ありがとうございました。
本投稿は、2025年10月18日 00時29分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。







