赤字経営の際の専従者給与について
主人と飲食店を経営して3年目になりますが、赤字です。主人には給与所得があるので、生活はそれでなんとかなり、事業所得の赤字分は損益通算をしています。私は事業に十分従事しておりますが、赤字なので給与は受け取っておりません。しかし、そのような経営状態でも専従者給与を申請して給与を受け取ることはできるのでしょうか。その際気をつけるべきことは何でしょうか。
税理士の回答

青色事業専従者に関する届出を税務署にされていて、専従者としての職務の実態があれば、届出をした金額以内に関しては事業が赤字であっても支払いをすることは可能です。

中野眞弘
ご主人が青色申告者か白色申告者かで判断が分かれます。
白色申告者の事業専従者控除は事業所得が赤字の場合、認められません。
青色申告者の専従者給与の場合、適正額であれば必要経費に算入できます。
この適正額の判断ですが、その労務に従事した期間や性質、その事業と同種の事業でその規模が類似するものに従事する者が支払いを受ける給与の額等を総合的に判断することになります。また、未払計上ではなく支払の事実が必要です。
しかし、お問い合わせのように青色専従者給与を控除する前の事業所得の金額が毎年赤字であり、その赤字が貸倒れや災害などの偶発的な損失によるものでない場合には、その給与の金額が適正なものであるかどうかの検討が必要になると思われます。
ご回答、どうもありがとうございます。申告は青色です。赤字でも青色事業専従者の届け出をし、事業に専念していれば認められることはわかりました。しかしその適正な給与額をどのように決定したらいいのでしょうか。
事業にはフルタイムで専念してますが、その時間を最低賃金で計算すると事業所得のほぼ全てが給与支払いになってしまいます。また給与を受け取ると配偶者控除が受けられないようなので、38万以下ではメリットがないのはわかっています。
紙面上は給与を受け取ることが可能でも、実状は無理なので、税務署からの指摘を受けるのではないかと心配なのですが、如何なものでしょうか。

専従者給与の額に関しては、求人情報などを参考に、同業同職種の賃金水準と同じ位にしておくのが宜しいと考えます。
また、税務署に届け出る給与の金額は上限額ですので、実際に支払う金額が届出の金額を下回っても問題はありません。
従って、税務署に届出た金額以下であり、同業同職種の賃金として適正な金額であれば、仮に赤字であっても税務署から指摘を受けることはないと考えます。
再度ご回答、どうもありがとうございます。もう少し質問させてください。
2019年の確定申告に専従者給与を加えるためには、3/15までに届出を出さなければいけないんですよね。ということは今から届出を出しても、2020年の申告分からの適応にしかならないのでしょうか。今年の分から適応させるための方法はあるのでしょうか。白色申告なら専従者給与の届出はいらないと思うのですが、結局赤字なので専従者控除も受けられないんですよね。開業は2017年の4月ですが、過去2年青色申告をしています。修正申告は可能なのでしょうか。宜しくお願い致します。
青色事業専従者給与の場合には、その年の1月16日以後に開業した人や新たに専従者がいることとなった人は、その開業の日や専従者がいることとなった日から2月以内に届出を提出する事になります。
「参考」
[手続名]青色事業専従者給与に関する届出手続
[概要]
青色事業専従者給与額を必要経費に算入しようとする場合の手続です。
[手続根拠]
所得税法第57条
[手続対象者]
青色事業専従者給与額を必要経費に算入しようとする青色申告者
[提出時期]
青色事業専従者給与額を必要経費に算入しようとする年の3月15日まで(その年の1月16日以後に開業した人や新たに専従者がいることとなった人は、その開業の日や専従者がいることとなった日から2月以内)に提出してください。
なお、提出期限が土・日曜日・祝日等に当たる場合は、これらの日の翌日が期限となります。
[提出方法]
届出書を作成のうえ、持参又は送付により提出してください。
[手数料]
手数料は不要です。
[添付書類・部数]
届出書に記載した内容とは別に給与規程を定めているときは、その写しを1部提出してください。

ご主人は3年前から事業を営んでおられるとのことですので、専従者給与の支払いをするためには支払いをする年の3月15日までに「青色事業専従者給与に関する届出書」を提出する必要があります。
今年の3月15日までに上記書類を提出されてなく、これから提出される場合には2020年からの支給が可能になります。
従って、今年(2019年)に関しては専従者給与ではなく配偶者控除で対応することになると考えます。
また、ご質問の最後の「修正申告は可能なのでしょうか。」とは、どのようなことでしょうか?
修正申告の内容をお聞かせいただけたら幸いです。
今までが配偶者控除の適用であれば、新たに専従者がいる事になりますので、専従者がいることとなった日から2月以内に青色事業専従者給与に関する届出書を提出されたら良いと考えます。
その月から専従者給与を実際に支給されたら良いと考えます。
服部先生、山中先生、度々のご回答、本当にありがとうございます。
両先生のご意見をいただき、再度確認させていただきたく投稿させていただきました。
開業以来、配偶者控除を受けておりましたが、今からでも届出を出せば、青色専従者控除を即受けられるということですか。2ヶ月以内ということは、具体的に今月中に出せば、4/1からの適応も可能と解釈していいのでしょうか。
それともやはり配偶者の場合は2020年からの適応になってしまうのでしょうか。
(服部先生、過去2年分に対しては配偶者控除のみを受けていたので、専従者控除を受けられる術があるのかと思い、修正申告と申し上げたのですが、これについてはやはり無理ですね。お気遣いいただき、どうもありがとうございます。)
お手数をお掛けし大変申し訳ありません。
宜しくお願い致します。

ご連絡ありがとうございます。
青色専従者給与を支払う場合、すでに事業を行っている人に関しては原則としては「青色事業専従者給与額を算入しようとする年の3月15日まで」に専従者給与の届出を行う必要あります。
例外的に「2ヶ月以内」と認めているのは、①新規に開業した場合や、②新たに専従者がいることとなった場合のケースに限られています。
専従者給与の届出制度は、恣意的な利益調整を排除する目的で設けられていることからも、ご相談のケース(年の最初から事業に従事していたケース)に関しては、法律の文理解釈としては「新たに専従者がいることとなった場合」の例外には当てはまらず、原則の「その年の3月15日」までに届出を行う必要があるものと思われます。
従って、今年は既に3月15日を過ぎてしまっているため、相談者様の場合には専従者給与として支給できるのは来年からになるものと考えます。
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2075.htm
また、専従者控除は白色申告の場合の特例であり、当初の確定申告書にその控除を受ける旨を記載することが要件となりますので、今から遡っての控除は残念ながらできないと考えます。
(上記サイトの「3」(2))
以上、宜しくお願いします。
ご丁寧に度々のご回答、本当にありがとうございます。申し訳ありませんが、再度質問させてください。
現在青色申告の届けを出しておりますが、白色申告に変えることは可能なのでしょうか。青色は65万、白色は10万までの控除ですが、そもそも赤字の場合、青色のメリットはあるのでしょうか。もしないのであれば、白色申告でしたら今からでも86万円の専従者控除が届出なしで受けられるのではないかと思った次第です。如何なものでしょうか。

青色申告から白色申告に変えるためには、青色申告の取り止めの届出が必要です。勝手に変えることは出来ません。
また、65万円の控除も10万円の控除もどちらも青色申告の場合の特典です。白色申告では10万円の控除はありません。
また、青色申告で赤字の場合には、その赤字を翌年以降3年間繰り越せるというメリットがあります。白色申告ではこのメリットはありません。
帳簿作成という負担がある分、青色申告には様々なメリットを与えているものと思われます。
本投稿は、2019年04月26日 13時34分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。