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海外在住 税務上の居住地国判定について

現在欧州に5年ほど在住しております。
最近になり納税すべき国が間違っているのではないかと不安になり、ご意見を伺えればと思い質問させて頂きます。

以下のような状況で、税務上の居住地国は日本であると判断していますが問題ないでしょうか?

欧州(妻の母国)にて一時的な滞在許可証を持っており、妻と共に賃貸マンションで生活しています。現地国での所得は無く、主な生活資金は日本の銀行口座から毎月送金しており、また広告収入による日本国内源泉所得(毎年20万~100万ほど)が発生しています。住民票は日本の実家住所を残しています。日本にはこちらに来てから帰国したことがありません。

現地国での税法によればいわゆる183日ルールが適応され、税務上の居住地は現地国になると考えています。一方、日本国内法においては1年を通して国内に滞在していないが、現在の収入源と資産、住民票が日本にあることから、税務上の居住地は日本になると考えています。そこで租税条約により恒久的住居の場所、つまり実家のある日本の居住者であると判断しました。

このことから今まで日本でのみ確定申告をしてきました。(この場合、現地国では現地での収入が無ければ申告不要です)住民税、国保なども支払っています。

もし私の考えが間違っていれば現地国で日本国内源泉所得の申告漏れが発生していることになり不安でたまりません。ご回答いただけると幸いです。宜しくお願い致します。

税理士の回答

 回答します

 貴方は1年以上国外に居住していますので、日本の非居住者に該当します。(住民票の有無は関係ありません)

 「居住者」とは「日本に住所を有し、または、現在まで引継ぎ1年以上居所を有する者」をいいます。
 この「居住者」以外は「非居住者」とされますが、貴方の場合「現在まで引継き1年以上」日本に居所を有していませんので、日本の非居住者として取り扱われます。

 なお「居所」とは「生活の本拠地ではないが、その人が現実に居住している場所」を指します。
 居住場所が賃貸であるのか所有する家屋であるのか、ホテルなどであるかは問いません。「寝起きしている場所」とお考え下さい。

 また、住民票の有無は、居住者・非居住者に判定に参考にはなりますが決定となる事項ではなく、また、恒久的施設が日本にあることによって、日本の居住者に即座になるとは判断されません。
 収入に関しても、「1年を通じて勤務を要する職業」が日本にある場合は、日本に住所があると推定されますが、収入源となる取引先の国によって、住所が推定されることはありません。
 (国内から役員報酬をうける者であっても、国外に居住している者は、非居住者となります)

 もちろん、住所や居所の判定を行うにあたり、出国時に明らかに1年以上国外に居住することが明らかでない場合には、住所の判定に際し「恒久的施設」や「家族の居住地」、「通常1年以上勤務の必要な職業」等により推定いたしますが、現に1年以上国外に居住している方で「居住者」となるのは、公務員などの特別な立場の者のみとなっています。

 なお、1年以上国外に居住しない予定で出国された方が、結果として1年以上国外に居住した場合は、1年を経過したときから非居住者になります。
 国税庁HPより参考となる質疑回答を添付します。
 https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/gensen/01/02.htm

 

米森先生
ご回答ありがとうございます。

居所に関しては米森先生のおっしゃる通り日本にはありません。住所に関して、日本に開業届(現地国滞在場所を自宅兼事務所としています)を提出しているのですが「1年を通じて勤務を要する職業」には該当せず、日本に住所があるとは推定されないと考えるべきでしょうか?

非居住者の場合、通常の手順としてはまず日本で確定申告をし、その旨を現地税務署に伝え(必要な書類を提出し)可能な場合は外国税額控除を受けるであっているでしょうか?租税条約に関する届出書、居住者証明書を納税すべき年に提出していなかった場合、その年では軽減、免除は受けられないのでしょうか?

宜しくお願い致します。

回答します

> 「1年を通じて勤務を要する職業」に該当しないか
  ⇒ 実際に、日本の事務所に「1年を通じて通常勤務」をしていない訳ですから、開業届出書を提出したことをもって、住所の推定をすることなく「日本に居所を1年以上有していない」わけですから、非居住者に該当します。

> 日本での課税
 1 居住者であった期間について
   出国時に、非居住者となることが判明している場合は、出国前に確定申告をすることになります。

 2 非居住者となったあとの課税について
   貴方の収入源(所得)が、日本での課税が生じる「国内源泉所得」に該当するかしないかを確認します。
   
   国内源泉所得に該当し、日本での課税がされた場合は、現在の居住国で、外国税額控除の対象となると思われますが、手続き等は、お住いの居住国の課税当局にお尋ねください。
   なお、国内源泉所得で課税がされた場合、確定申告による税額は通常の納税証明書、源泉分離課税による税額は、報酬の支払者を通じて「源泉所得税の納税証明願」を提出し発行された「納税証明書」が必要になると考えらえます。

  貴方の収入(所得)が、日本の「国内源泉所得」に該当するか検討する必要があります。「広告収入」とのお話ですので
   ① 事業所得
   ② 著作権の使用料等 に該当する可能性が高いと考えられます。
   
   ① に関しては、日本に支店等や契約等を代理する者が常駐している(代理人PE)場合に「国内源泉所得」に該当し、事業所得の確定申告(総合申告)の対象となります。 それ以外の場合は、日本での課税対象にはなりません。
  
  ② に関しては、国内源泉所得になり20.42%の源泉分離課税となります。日本の課税は、源泉で完了となります。
  なお、多くの国との間では租税条約により免税又は軽減となっていることがおおため、免税・軽減を受けるためには、租税条約の届出書を、報酬の支払者を通じて支払者の所轄の税務署に提出する必要があります。
  ※ 免税の場合は「特典条項の付表」と「居住者証明書」が必要となります。
  この他の「国内源泉所得」に該当する場合もあり得ますので、ご検討ください。

  国税庁HPから、源泉徴収のあらましを添付します。
  7枚目(P274)の一覧表が、非居住者の所得区分が一覧表になっていますので、見やすいと思います。

  3枚目(P270)から「恒久的施設(PE)」の説明があります。
  40枚目(P307)に国ごとの租税条約の取扱いが記載されています。参考にしてください。https://www.nta.go.jp/publication/pamph/gensen/aramashi2022/pdf/12.pdf

 文字数が多くなりましたので、続きとなります

3 納税等の手続きの再確認
 > 通常の手順としてはまず日本で確定申告をし、その旨を現地税務署に伝え(必要な書類を提出し)可能な場合は外国税額控除を受けるであっているでしょうか?
  ⇒ 日本の課税は、国内源泉所得によって、
    ①総合課税(確定申告)
    ②源泉分離課税
    ③源泉徴収のあと、総合課税 と手続きが異なります。
    事業所得なら「①」、著作権の使用料であれば「③」となります
 
    居住地国での手続きは、居住地国の課税当局にご確認ください。

 > 租税条約に関する届出書、居住者証明書を納税すべき年に提出していなかった場合、その年では軽減、免除は受けられないのでしょうか?
  ⇒ 日本の課税は、時効にあたらない限り「租税条約の届出書」を後から提出した場合であっても、条約の適用(免税・軽減)を受けることができます。
  
  居住地国においては、日本の課税が、仮に租税条約の届出書の提出がなく一旦、租税条約の適用を受けていなかった場合であっても、「外国税額控除」の対象となる税額は条約の適用を受けた場合の税額が、対象となると考えられます。
  詳細は、居住地国の税務当局にご確認ください。
 

米森先生
詳細にご説明頂き大変感謝しております。

非居住者となること理解いたしました。
広告収入は著作権が日本国内で使用されたことによる使用料として受け取っています。租税条約により源泉徴収は免除されています。

非居住者であれば住民税、国保に支払いは不要だと認識している為、還付方法など調べていきたいと思います。日本国内での手続きについて分からないことがあればまたここで相談させて頂こうと思います。

ありがとうございました。

  ご理解いただけ安堵しました。
  蛇足ですがお伝えいたします。(社保関係は、税理士の管轄外のため、社会保険労務士先生などにご確認ください)

 1 居住者として申告納税したものは、修正又は更正の請求によって補正することになると考えます。

 2 源泉所得税の納付について
  >著作権が日本国内で使用されたことによる使用料として受け取っています。租税条約により源泉徴収は免除されています。
   ⇒ 源泉徴収はされてこなかったのでしょうか。
     そうしますと、もともと「非居住者」として「租税条約の届出書」の提出をされていたということでしょうか。

   それとも今までは源泉徴収はされていたが、確認されたら「免税」であったということでしょうか。
   そうしますと、報酬の支払者が、「著作権の使用料」としての源泉所得税の納税は、居住者に対する報酬・料金として納税していたのでしょうか。非居住者に対する支払いとして納税していたのでしょうか。
   ※ 確定申告書で「源泉所得税」の記載はしていませんか。
   文脈から把握できず申し訳ございません。

   なお、大変申し訳ございませんが、居住者とて納税していた場合は、「租税条約の還付請求」となるか「誤納還付請求」になるか、報酬の支払者を通じて支払者の所轄の税務署に確認していただけますでしょうか。

   いずれにしても「租税条約の届出書」の提出が必要になりますし、租税条約により「免税」となるというお話ですので、「特典条項の付表」と「居住者証明書」の添付が必要になります。

   また、いつから「非居住者」になったかご確認くださいませ。

2回目のご質問に関して 回答が不足していたようですので追加回答します。
> 非居住者の場合、通常の手順としてはまず日本で確定申告をし・・・・
  ⇒『出国時に「非居住者」となることが明らかな時』の説明は致しました。この「出国時に非居住者になる時」の判断は、「住所の推定」に照らして行うことになります。

  次に、「出国時には非居住者になるか不明の場合」の申告の説明を失念していましたので、追加します。

  この場合、非居住者になった時まで(居住者期間)の確定申告を行います。この場合の申告は、翌年の2月16日~3月15日となります。
  前回「いつから非居住者になったかご確認ください」とお伝えいたしましたが、修正申告や更正の請求、税務署や市区町村への相談をされると思いますので、事実関係を整理したうえで、ご相談ください 

  ① 1年以上居所が国外となることが明らかになった時から非居住者になります。
    例えば出張命令が延長され1年を超えることが明らかになった時や相手国に就職・就学したことになった時が「明らかになった時」となります。
  ② 結果として1年を超えて海外に居住した場合
    1年を経過する日から非居住者になります
    例えば、1月1日出国の場合、1月2日が起算日、1年を経過する日は翌年1月2日、そこで前日の翌年1月1日までは居住者になります。翌年1月2日から非居住者になります。
    参考にしてください。

  国税庁HPの関連個所を添付します。
 「海外勤務中に不動産所得のある場合」(居住者期間の控除の考え方が掲載されています。
 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1926.htm
 「海外勤務者は帰国したときの確定申告」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1935.htm 

本投稿は、2023年02月14日 07時38分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。

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