営利を目的としない団体は(団体自体の)確定申告が不要であるか
夫は「営利を目的としない団体」から給与を受け取り、他のわずかな事業所得とあわせて確定申告をしています。しかし実際の生活との乖離が激しく(実生活はそれなりの水準でしたが、確定申告上の収入金額が著しく低い)原因を調べていくうちに、その団体については決算や収支に関する情報がありませんでした(確定申告をしていない)。夫いわくその団体は「非営利であるから確定申告の必要がない」とのことですが、わずかな給与を受け取って(団体自体は確定申告をしていないので)団体のお金が不明瞭(ある程度自由に使える)ここにカラクリがある気がしています。
①「非営利であるから確定申告の必要がない」というのは合っていますか?
②「非営利」とは自己判断で良いのでしょうか、どこか所轄庁に届けたり認可をもらったりする必要はないですか(だとすれば誰でもできてしまいそう)
③その団体に法人格は無く、夫方いわく「人格のない人のあつまり」だそうですが、そのような団体から給与をもらうことは問題ないですか
④団体から給与をもらうことが問題ないとして、その給与額が適正か(著しく低く、生活できない金額なのにフツウ以上の生活をしていますので税金対策としか思えません)判断する方法はありますか
どうぞよろしくお願いいたします。
税理士の回答

土師弘之
「非営利」=「非課税」だから、その団体は確定申告がいらないという人がいまだに多くいるというのは残念な気がします。
「非営利」とは「儲けてはいけない(だから非課税)」ではないのです。
「非営利」とは、「剰余金の分配を行ってはいけない(儲けを構成員に分配してはいけない)」という意味であって、非営利団体は「儲ける活動をしてはいけない(営利活動をしてはいけない)」ではないのです。
「非営利団体」と言えども、「寄付金」や「助成金」だけで事業活動かできるというのは現実的ではなく、販売行為や業務委託などを行って経費(給料など)を賄える収入を得ているところが多くあります。また、このような販売行為などを禁止する法体系にはなっていません。つまり、剰余金を分配さえしなければ営利活動を行ってもいいのです。
しかし、このような行為まで非課税としてしまうと、一般の企業との間で不公平が生じてしまいます。
そこで、法人税法では、そのような任意団体を「人格なき社団」として「法人」とみなし、営利行為を限定して課税対象とする(確定申告しなければならない)こととしているのです。このような営利行為を「収益事業」といいます。
「収益事業」には物品販売業など34の事業があります。
ただし、この34の収益事業に該当しなければ確定申告する義務はありませんので、残念ながら税務署等のチェック機能は働きません。だからと言って、収支明細が不要というわけではありません。活動している以上は求められてたらいつでも提出できるように決算報告は必要になります。
また、上記収益事業とは別に、「人格なき社団」は一般企業と同じ「法人」とみなされるわけですから、給料等を支払えば源泉徴収する義務が発生し、給料の支払を税務署や市役所に報告する義務も発生します。
本投稿は、2023年04月18日 08時33分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。