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特定支出控除における通勤費用の考え方

配偶者の転勤都合で私の勤務地からは遠方に転居した結果、私は会社が負担する一定の通勤手当を超過する費用を自己負担しています。この費用を特定支出控除として確定申告することを考えております。質問させていただけますと幸いです。

①遡っての申請
 この費用の確定申告は該当年度の費用しか申告できないでしょうか。
 例えば昨年や、一昨年の費用を遡って申告することは可能でしょうか。

②宿泊費用
 毎日勤務地を往復することができないため、宿泊することがあります。(領収書はあります。)この宿泊費用は特定支出控除の対象として算出することはできますでしょうか。
 1週間のイメージは以下です。
 ◯月曜:自宅から勤務地へ長距離移動(通勤手当で足りない分を自己負担)
 ◯火曜~木曜:ホテルに宿泊(1日あたり通勤手当は規定内で支給あり。ただし宿泊費よりも安いため差額は自己負担している)
 ◯金曜:勤務地から自宅へ長距離移動(通勤手当で足りない分を自己負担)
 
③フライトのキャンセル費用
 業務指示により、予め予約していたフライトをキャンセルするいることがあります。このキャンセル費用は通勤費用(またはその他の項目として)特定支出控除の対象として算出できるものでしょうか。

④給与の支払者の証明書
 確定申告にあたり、「特定支出(通勤費)に関する証明の依頼書」を職場から入手し提出が必要と理解しています。しかし新幹線や飛行機を使うため、金額は固定ではありません。
 「特定支出(通勤費)に関する証明の依頼書」内にある「給与等の支払者により補塡される部分につき所得税が課されない部分の金額」は固定でなく実績でいうとその都度変動の金額となります。
 その場合の記載方法は、一般的な金額(例えば普通運賃)の記載で良いのでしょうか。それとも1回1回の実績ベースでの記載が必要になりますでしょうか。

複数の質問となり恐れ入りますが、どうぞよろしくお願いします。

税理士の回答

「特定支出控除」における「通勤費」の適用は非常に限定的です。支出した通勤に係る費用がすべて対象となるわけではありません。

特定支出控除の対象となる「通勤費」とは、
「通勤のために必要な交通機関の利用又は交通用具の使用のための支出(航空機の利用に係るものを除きます。)で、その通勤の経路及び方法がその方の通勤に係る運賃、時間、距離その他の事情に照らして最も経済的かつ合理的であることにつき給与等の支払者により証明がされたもののうち、次に掲げる場合の区分に応じそれぞれ次に定める金額に相当する支出(以下「通勤費」といいます。)
イ 交通機関を利用する場合 その年中の運賃及び料金の額の合計額
ただし、この合計額が1月当たりの定期乗車券又は定期乗船券の価額の合計額を超えるときは、その定期乗車券等の価額の合計額」
と規定されています。
要するに、通勤費として対象となる金額は「1年間の運賃及び料金の額の合計額ではあるが、その通勤の経路及び方法がその方の通勤に係る運賃、時間、距離その他の事情に照らして最も経済的かつ合理的である必要があり、1カ月当たりの定期券の合計額を限度とします」ということです。
このため、職場に依頼する証明書には「通勤の経路 及び方法等」を具体的に記載する必要があります(運賃等以外は認められないということを指しているということになります。)。
なお、「特定支出(通勤費)に関する証明の依頼書」内にある「給与等の支払者により補塡される部分につき所得税が課されない部分の金額」とは、給与明細に記載されている「通勤手当(非課税に限る)」となります。
よって、「②宿泊費用」「③フライトのキャンセル費用」は対象になりません。

また、、特定支出控除は確定申告によるものですので、過去にさかのぼって(最大5年分)適用することができます。

ご丁寧な回答ありがとうございます。
とても理解が深まりました。
宿泊代やキャンセル費用は対象外、と理解できました。

具体的に現在の状況は
・「新幹線の定期代」は設定されていない距離
・新幹線よりも安価で早く通勤できる合理的な手段として、飛行機を利用していることがあります
 (早割を利用したり、LCCを利用したりして新幹線よりも安価に抑えている)
という状況です。

重ねての質問で恐縮ですが、
①新幹線よりも合理的(時間・金額)といえる場合でも航空券代は対象にならないのでしょうか。
②寝台列車(乗車券+特急券)も通勤代と言えるでしょうか。

「航空機の利用に係るものを除きます」と規定され令るので、航空券代は対象になりません。
「寝台列車代」は毎日通勤するための手段ではないと思われますので、「通勤費」ではなく、「特定支出控除」のうちの「帰宅旅費」(単身赴任などの場合で、その者の勤務地または居所と自宅の間の旅行のために通常必要な支出)に該当します。

本投稿は、2024年04月25日 23時06分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。

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