漫画家の同人活動(赤字)の場合、確定申告に記載は必要ですか?
開業届を漫画家で提出している、個人事業主です。
収入は現在、出版社からの原稿料と印税のみです。
同人誌(漫画)を作りたいと思っているのですが、利益を出すためではなく”気分転換に自分の描きたいものを自由に描きたい”からです。
なので、作った同人誌は原価以下で頒布を考えています。
例)50冊3万円の印刷費=1冊の原価:600円のものを500円で頒布…といった形です。
・イベント会場での頒布の場合、交通費やスペース代も含めるとさらに赤字になります。
・事前受注にして必要な冊数だけ印刷するか、もし年末に残っていたとしても年内に在庫を処分して年を跨がないように考えています。
・継続的に行うつもりはありません。
利益を出すつもりがない=自己満足の”趣味”の範囲だと思うのですが、
色々調べる中で「漫画家の同人誌による利益は事業所得になるのか?」の回答が事業所得になるというのを目にしました。
つまり、漫画家にとって同人誌は”事業”とみなされると判断しました。
やはり自分が発行しようとしている利益が出ない同人誌であっても、確定申告の事業所得に含める必要があるでしょうか?
事業所得に含める場合、もちろん発行にかかった印刷費などを経費計上することになりますが、利益が出ない前提のものにかかった経費を事業の経費として計上するのは所得を抑えることにつながります(イメージとしては節税のように感じました)
それもおかしな話のような気がしていて、ただ事業所得に含まれるなら事業にかかった費用は事業経費ですので当然という気も…。
事業柄、線引きなども難しく質問しました。
ご意見を頂けると幸いです。宜しくお願いします。
税理士の回答
漫画家の方の同人活動について、税金上の取り扱いがどうなるのか、についてのご相談ですね。
一般論として、所得税の計算上、「事業」として取り扱われる基準の一つに、「社会通念に照らして判断する」というものがあります。
どういうことか。要するに、「お金を稼ぐ目的」で活動しているのかどうかということです。
この視点から考えますと、相談者様の同人活動は赤字前提とのこと。こうなりますと、ご自身がおっしゃる通り「趣味」の範囲ではないかと判断します。
趣味である以上、少なくとも同人活動に関する収入については申告に含める必要はないのではないでしょうか。
ただし。気を付けたいのは「収支」の管理です。
税務署の視点から考えますと、本業の原稿料と印税以外に同人活動も行っているとなると、同人活動の収入を申告していないのではないかと、疑われてしまうケースがあります。
そのため、相談者様において、同人活動に関する収入と経費の記録を付けることをお勧めします。本業とは別に、です。
そして、収入に関するエビデンスと、経費に関するエビデンスも併せて保管をしておくこと。
もし、将来、税務調査を受けたときに、調査官にエビデンスを示して同人活動は「赤字」だからあえて、申告をしていないのだと説明できるように備えておく方が望ましいでしょう。
村田先生、ご回答ありがとうございます。
自身の知識だけでは事業と趣味の範囲が曖昧であった部分もあり、先生の回答に学ばせて頂くことばかりでした。
また、確定申告や税務調査が入った場合にどのような影響や説明が適当であるのかも、
大変参考になります。
参考にさせて頂き、今後の活動に生かしていきたいと思います。
ご丁寧な返答の数々、ありがとうございました。
本投稿は、2024年05月11日 00時45分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。