雑所得の消費税申告の要否
インボイス登録によって課税事業者となった個人事業主です。本業とは別に講演依頼を受けることがあり講演料を受領しています。この場合、講演料についても含めて消費税申告が必要でしょうか。
講演に関しては主催者の支配の元に実施しており、詳細状況は以下の通りです。
・どのようなテーマの講演をするかは主催者が決め、それを受けるかどうかだけを返答するのみ。
・申し込み受付などの事務処理、当日の進行(開始、終了、休憩)なども全て主催の判断で行っており、こちらは関与しない。
・講演料は主催者が決定しており、交渉の余地は無い。
・最終的に開催するかどうかは主催者が決めており、講演自体が直前になって中止になることがあるが、その判断は主催者が行いこちらは関与できない。
ということなので、主体性が全く無いので事業とは呼べないと判断しています。
ただし、講演は複数のセミナー会社で実施しており、それぞれ年間複数回の実施になっています。
もちろん、事業所得とは別に雑所得として確定申告には含めています。
消費税はそもそも国内事業活動に対して発生するものと理解しており、上記のような支配下で行う行為については事業とは呼べず、対象外になると考えています。
このようなケースで雑所得分も消費税申告に含める必要があるのでしょうか。
税理士の回答

土師弘之
結論から言いますと、雑所得に係る収入も消費税の課税売上となります。
消費税法上の「事業」は、所得税法上の「事業所得」に限られません。
「事業者が」「事業として」「対価を得て」行う取引が消費税の課税対象となりますので、「不動産所得」譲渡所得」「雑所得」であっても課税売上になる可能性があります。
よって、セミナーの講師は「雑所得(業務)」に当たると考えられますので、消費税の課税売上に計上する必要があります。主体性があるかどうかは「事業」としての判断に影響しません。
ちなみに、「国税庁ホームページ」→「法令等」→「質疑応答事例」→「消費税」→「消費税における「事業」の定義」に解説が載っていますので、ご参照ください。
すみません、一度理解したつもりだったのですが、分からないところがてきました。
国税庁の質疑応答事例で、
「同種の行為を反復、継続かつ独立して遂行すること」消費税法基本通達 5-1-1
とありました。
「独立して」という点について、質問記載の通り講演の企画段階から最終的な開催判断、報酬も全てセミナー会社の既定、判断で行われており、言うなれば支配下で従属的に役務を提供しており、「独立して」という部分が該当しない、すなわち、消費税の課税対象ではないと考えることはできないでしょうか。

土師弘之
「講演」という行為はどことどこの契約ですかとなった時に、主催者とあなたとの業務委託契約であり、その間に第三者等が入る余地はないと思われます。
たとえ、支配下で従属的であっても主催者とあなたとの間の業務委託契約であるため、その契約を引き受けるかどうかはあなたが単独で決めることができます。そういう意味で「独立して」といっているのです。
力関係で判断するのではなく、契約当事者が誰と誰かで判断すべきものです。
いわば、元請けと下請けの関係と同じであるということができ、誰かに雇用されているのではないという意味で「独立して」となります。
なるほど、そういう解釈となるのですね。
理解できました。
度々の質問にも関わらず丁寧なご回答を頂き、重ねて感謝いたします。
本投稿は、2025年01月21日 08時50分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。